退職後の生活費を考えるとき、「自分の場合は退職後の給付をいくら受け取れるのか」を具体的な数字で知りたい方は多いですよね。

雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれる給付)は、離職前の月給や年齢、働いていた期間、辞めた理由によって金額と日数が決まります。この記事では、まず月給別の早見表とケース別のシミュレーションで目安をつかみ、そのうえで失業保険の計算の仕組みと、計算どおりにならないケースを解説します。

この記事のポイント

  • 30歳以上45歳未満で月給30万円の場合、1日あたりの金額(基本手当日額)の目安は約6,300円です。
  • 月給が高いほど給付率は下がり、年齢区分ごとの上限額を超えて受け取ることはできません。
  • 給付日数は、自己都合退職なら被保険者期間に応じて90日〜150日、倒産・解雇などなら最大330日です(就職困難者は最大360日)。
  • 同じ月給でも、離職理由や年齢によって受給総額の目安は大きく変わります。
  • この記事の金額は目安で、実際の金額と日数はハローワークが決定します。

失業保険の計算に使う3つの数字

失業保険の受給額は、次の3つの数字を順番に求めて計算します。

数字内容
賃金日額離職前6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割った額
基本手当日額賃金日額に給付率(およそ50〜80%、60〜64歳は45〜80%)を掛けた、1日あたりの支給額
所定給付日数基本手当を受け取れる日数。年齢・被保険者期間・離職理由などで90日〜360日の間で決まる

受給総額の目安は「基本手当日額×所定給付日数」です。まずは早見表で、自分に近い金額を確認してみましょう。

月給別|基本手当日額と受給額の目安(早見表)

離職時の年齢が30歳以上45歳未満で、離職前6か月の月給(毎月きまって支払われた賃金)が毎月同じだった場合の目安です。厚生労働省の令和8年8月1日からの計算式をもとに計算しています。

月給賃金日額基本手当日額給付率90日分の目安
15万円5,000円4,000円80.0%360,000円
20万円約6,667円5,037円約75.6%453,330円
25万円約8,333円5,776円約69.3%519,840円
30万円10,000円6,307円約63.1%567,630円
35万円約11,667円6,630円約56.8%596,700円
40万円約13,333円6,744円約50.6%606,960円
50万円約16,667円8,270円(上限額)約49.6%744,300円

「90日分の目安」は、被保険者期間が10年未満で自己都合退職した場合の所定給付日数(90日)をすべて受け取ったときの金額です。月給が上がるほど給付率は下がり、30歳以上45歳未満では基本手当日額8,270円が上限になります。

ポイント:基本手当日額は1円未満を切り捨てて表示しています。実際の金額は、離職票に記載された賃金をもとにハローワークが計算します。

ケース別|失業保険の計算シミュレーション

年齢や離職理由が異なる3つのケースで、受給額の目安を計算してみます。いずれも離職前6か月の月給が毎月同じだった場合の目安です。

ケース1:28歳・月給22万円・被保険者期間5年・自己都合退職

項目計算と結果
賃金日額22万円×6か月÷180≒7,333円
基本手当日額約5,357円(給付率は約73%)
所定給付日数自己都合退職・被保険者期間10年未満のため90日
受給額の目安5,357円×90日=482,130円

正当な理由のない自己都合退職のため、7日間の待期の後に原則1か月の給付制限があります(退職日が2025年4月1日以降の場合)。

ケース2:42歳・月給35万円・被保険者期間15年・会社都合(解雇)

項目計算と結果
賃金日額35万円×6か月÷180≒11,667円
基本手当日額約6,630円(給付率は約57%)
所定給付日数特定受給資格者・35歳以上45歳未満・被保険者期間10年以上20年未満のため240日
受給額の目安6,630円×240日=1,591,200円

同じ条件で自己都合退職だった場合、所定給付日数は120日となり、受給額の目安は795,600円です。離職理由によって、受給額の目安が約2倍変わることがわかります。

ケース3:62歳・月給38万円・被保険者期間30年・定年退職

項目計算と結果
賃金日額38万円×6か月÷180≒12,667円
基本手当日額12,667円×45%≒5,700円(60歳以上65歳未満で賃金日額12,120円超17,400円以下の区分)
所定給付日数被保険者期間20年以上のため150日
受給額の目安5,700円×150日=855,000円

60歳以上65歳未満の人は給付率の幅が45〜80%となるため、同じ賃金日額でも60歳未満の人より基本手当日額が低くなることがあります。

関連記事:退職給付金とは?失業保険・傷病手当金など対象制度をわかりやすく解説

失業保険の計算方法をくわしく解説

賃金日額の求め方

ハローワークの案内では、賃金日額は、原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割って算出します。賞与など、毎月きまって支払われるもの以外の賃金は含まれません。

基本手当日額の求め方

基本手当日額は、賃金日額に給付率を掛けて求めます。厚生労働省の資料では、令和8年8月1日からの計算式が年齢区分ごとに示されています。60歳未満の人の場合は次のとおりです。

賃金日額基本手当日額の計算
3,203円以上5,480円未満賃金日額×80%
5,480円以上13,490円以下0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,480)÷(13,490-5,480)}×賃金日額
13,490円超賃金日額×50%(年齢区分ごとの上限額まで)

60歳以上65歳未満の人は、賃金日額5,480円以上12,120円以下の区分で別の計算式を使い、12,120円超の区分では給付率が45%になります。

基本手当日額の上限額と下限額

離職時の年齢基本手当日額の上限額(令和8年8月1日現在)
30歳未満7,450円
30歳以上45歳未満8,270円
45歳以上60歳未満9,110円
60歳以上65歳未満7,830円

下限は、賃金日額3,203円、基本手当日額2,562円です。上限額・下限額は、平均給与額の変動などにもとづいて毎年8月1日に見直されます。

所定給付日数の決まり方

所定給付日数は、離職理由によって大きく3つの区分に分かれます。ハローワークの案内をもとに整理すると次のとおりです。

自己都合退職・定年退職などの場合

特定受給資格者などや就職困難者に当てはまらない人は、年齢にかかわらず、被保険者期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。

倒産・解雇など(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)の場合

離職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日―
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

期間の定めのある労働契約が更新されなかったことなどによる一部の特定理由離職者は、離職日が2027年3月31日までの場合に限り、この表と同じ日数になります。

障害者などの就職困難者の場合

被保険者期間が1年未満なら150日、1年以上なら45歳未満は300日、45歳以上65歳未満は360日です。

関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説

計算どおりに受け取れないケース

計算で求めた金額は、所定給付日数をすべて受け取った場合の目安です。次のような場合は、実際の受給額が変わります。

ケース受給額への影響
受給期間(原則として離職日の翌日から1年間)を過ぎた所定給付日数が残っていても、残りは受け取れない
受給中に1日4時間以上働いたその日は「就労」となり、その日の基本手当は支給されない
受給中に1日4時間未満の内職・手伝いをした収入額によって基本手当が減額されることがある
週20時間以上の継続的な仕事に就いた「就職」として扱われ、以後の基本手当は支給されない(条件を満たせば再就職手当の対象)
離職理由の判定が想定と違った所定給付日数が変わる
8月1日の改定をまたいだ上限額などが見直され、基本手当日額が変わることがある

手続きが遅れると、受給期間の1年のうちに所定給付日数を受け取りきれないことがあります。正当な理由のない自己都合退職の場合は、7日間の待期の後に給付制限もあるため、退職後は早めにハローワークで手続きを始めましょう。

注意:令和6年の雇用保険法改正により、令和10年10月1日から、賃金日額の下限額の見直しや、受給中の収入による減額の仕組みの廃止などが予定されています。計算方法が変わる可能性があるため、最新の情報を確認しましょう。

関連記事:退職給付金はどうやってもらうの|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説

早く再就職した場合は再就職手当

基本手当の受給資格決定を受けた後、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した仕事に就いた場合は、再就職手当の対象になる可能性があります。支給額は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら支給残日数の70%、3分の1以上なら60%を、基本手当日額に掛けた額です(計算に使う基本手当日額には上限額があります)。

失業保険の計算に関するよくある質問

Q. 退職直前に給料が下がった場合、計算はどうなりますか?

A. 賃金日額は、原則として離職した日の直前6か月に毎月きまって支払われた賃金をもとに計算します。直前6か月の賃金が下がっていれば、その金額で計算されます。

Q. 受け取った失業保険に税金はかかりますか?

A. 雇用保険の基本手当は、所得税などの課税対象になりません。

Q. 雇用保険に加入していた期間はどこで確認できますか?

A. 雇用保険被保険者証の資格取得年月日や、マイナポータルでの加入記録などで確認できます。転職している場合は、条件を満たせば前の会社の期間も通算されます。

関連記事:雇用保険とは?対象者・条件・手続き・注意点をわかりやすく解説

Q. 正確な金額はいつ分かりますか?

A. ハローワークで受給資格の決定を受けた後に交付される雇用保険受給資格者証で、基本手当日額や所定給付日数を確認できます。

まとめ|失業保険の計算は月給・年齢・離職理由で目安をつかもう

  • 失業保険の受給額の目安は「基本手当日額×所定給付日数」で計算します。
  • 30歳以上45歳未満・月給30万円なら、基本手当日額の目安は約6,300円です。
  • 月給が高いほど給付率は下がり、年齢区分ごとの上限額があります。
  • 同じ月給でも、離職理由や年齢、被保険者期間によって受給額の目安は大きく変わります。
  • 受給期間の1年を過ぎると受け取れなくなるため、退職後は早めに手続きしましょう。

まずは早見表から自分に近い月給の金額を確認し、ケース別のシミュレーションを参考に、離職理由と被保険者期間をあてはめて計算してみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月2日。基本手当日額の上限額・下限額などは毎年8月1日に改定されます。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。