退職後の計画を立てるとき、「退職後の給付はいつまで受け取れるのか」は大切なポイントですよね。

雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれる給付)には、「何日分受け取れるか」を表す所定給付日数と、「いつまでに受け取るか」を表す受給期間という2つの期間があります。この記事では、失業保険の期間の考え方を整理し、給付日数の決まり方、受給期限、期間を延長できるケースを解説します。

この記事のポイント

  • 失業保険の期間には「所定給付日数(受け取れる日数)」と「受給期間(受け取れる期限)」の2つがあります。
  • 所定給付日数は、離職時の年齢、被保険者期間、離職理由などによって90日〜360日の間で決まります。
  • 受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。過ぎると日数が残っていても受け取れません。
  • 病気・けが・妊娠・出産・育児・介護、定年退職後の休養、起業などの場合は、受給期間を延長できることがあります。
  • 受給期間の延長は「受け取れる期限」を延ばすもので、受け取れる日数が増えるわけではありません。

失業保険の「期間」は2種類ある

失業保険の期間を考えるときは、次の2つを分けて考えると分かりやすくなります。

期間意味決まり方
所定給付日数基本手当を受け取れる日数の上限離職時の年齢、被保険者期間、離職理由などで90日〜360日の間で決まる
受給期間基本手当を受け取れる期限原則として離職日の翌日から1年間

たとえば所定給付日数が90日の人でも、受給期間の1年を過ぎると、90日分を受け取りきれていなくても残りは支給されません。日数と期限の両方を確認しておくことが大切です。

ポイント:「何日分もらえるか」は所定給付日数、「いつまでにもらうか」は受給期間です。

失業保険を受け取れる日数(所定給付日数)

所定給付日数は、離職理由によって大きく3つの区分に分かれます。ハローワークの案内をもとに整理すると次のとおりです。

自己都合退職・定年退職などの場合

被保険者であった期間所定給付日数
10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

倒産・解雇など(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)の場合

離職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日―
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

期間の定めのある労働契約が更新されなかったことなどによる一部の特定理由離職者は、離職日が2027年3月31日までの場合に限り、この表と同じ日数になります。

障害者などの就職困難者の場合

被保険者期間が1年未満なら150日、1年以上なら45歳未満は300日、45歳以上65歳未満は360日です。

関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説

失業保険はいつまで?受給期間は原則1年

基本手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間です。所定給付日数が330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日になります。

受給期間は、ハローワークで手続きをした日からではなく、離職日の翌日から数えます。手続きが遅れると、その分だけ受け取れる期間が短くなります。

手続きが遅れた場合の例

たとえば、自己都合退職で所定給付日数が90日の人が、離職から10か月たってからハローワークで手続きをした場合を考えてみます。

流れ受給期間への影響
離職から10か月後に手続き受給期間の残りは約2か月
7日間の待期と原則1か月の給付制限この間は支給されず、受給期間の残りは1か月を切る
給付制限後に支給開始受給期間が終わるまでの日数分しか受け取れず、90日分を受け取りきれない

注意:受給期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても基本手当は受け取れません。就職先が決まっていない場合は、離職票が届いたら速やかに手続きを始めましょう。

受け取りが始まるまでの期間

ハローワークで受給資格の決定を受けた後、7日間の待期があり、この間は支給されません。正当な理由のない自己都合退職の場合は、さらに原則1か月の給付制限があります(退職日が2025年4月1日以降の場合)。待期や給付制限の期間も、受給期間の1年の中に含まれます。

関連記事:失業保険自己都合|失業保険の開始時期・給付期間・手続きを解説

受給期間を延長できるケース

すぐに働けない事情がある場合などは、ハローワークに申請すると受給期間を延長できます。兵庫労働局の案内などをもとに整理すると、主に次の3つのケースがあります。

ケース延長できる期間申請期限
病気・けが、妊娠・出産・育児、親族の介護などで、引き続き30日以上働けない本来の1年に加えて最大3年間(育児の場合は子が3歳になる誕生日の前々日まで)働けなくなった日が30日続いた後、早めに申請するのが原則。延長後の受給期間の最後の日までは申請可能
60歳以上の定年などで離職し、しばらく休養する本来の1年に加えて最大1年間離職日の翌日から2か月以内(原則として過ぎると承認されない)
離職後に事業を開始した(起業など)本来の1年に加えて最大3年間事業を開始した日などの翌日から2か月以内

病気・育児などで延長する場合の申請方法

申請は、本人がハローワークに来所するほか、郵送や代理人による申請もできます。主な必要書類は次のとおりです。

  • 受給期間延長等申請書
  • 離職票-2
  • 身元確認書類
  • 延長の理由を証明する書類(医師の証明書、母子健康手帳、介護の状況を証明する書類など)

延長後の受給期間の最後の日まで申請はできますが、申請が遅いと所定給付日数のすべてを受け取れない可能性があります。働けない状態が続くと分かった時点で、早めに手続きしましょう。働ける状態になったら、速やかにハローワークで基本手当の手続きをします。

事業を開始した場合の特例

事業を開始した場合の特例は、事業の実施期間が30日以上であることや、事業により自立できると認められることなどが条件です。再就職手当を受けた事業は対象になりません。事業をやめて再び仕事を探すことになった場合に、受給期間内であれば基本手当を受け取れる仕組みです。

給付日数そのものが延びる「延長給付」

受給期間の延長とは別に、一定の条件に当てはまる人は、所定給付日数を超えて基本手当を受け取れる「延長給付」の対象になることがあります。

延長給付の種類主な内容
訓練延長給付ハローワークの指示で公共職業訓練等を受ける場合、訓練が終わるまでの間などに基本手当が延長される
個別延長給付特定受給資格者などのうち、難治性疾患がある人や災害の被害を受けた人などで一定の条件を満たす場合に、原則60日(所定給付日数270日・330日の人は30日)などが延長される
広域延長給付失業者が多い地域として指定された地域で、広域的な職業紹介を受けることが適当と認められた人に、90日を限度に延長される

延長給付の対象になるかどうかは、ハローワークが個別に判断します。訓練の受講を考えている場合は、ハローワークに相談してみましょう。

失業保険の期間中に再就職した場合

受給中に就職した場合は、その後の基本手当は支給されません。ただし、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した仕事に就いた場合などは、再就職手当の対象になる可能性があります。

支給額は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら支給残日数の70%、3分の1以上なら60%を、基本手当日額に掛けた額です。支給申請書は、就職した日の翌日から1か月以内に提出します。

関連記事:失業保険の計算|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説

失業保険の期間で気をつけたいこと

受給期間の延長で受け取れる日数は増えない

受給期間の延長は、受け取れる期限を延ばす制度です。所定給付日数そのものが増えるわけではありません。

病気で働けない間は傷病手当金を確認する

退職後すぐに働けない場合、その間は基本手当を受け取れません。健康保険の傷病手当金の条件を満たしていれば、そちらを受け取りながら、受給期間の延長を申請しておく方法があります。基本手当と傷病手当金は、同じ期間に両方を受け取ることはできません。

就労や収入は正確に申告する

受給中にアルバイトなどをした日は、失業認定申告書で正確に申告します。偽りその他不正の行為で基本手当を受けた場合は、以後受けられなくなり、返還や納付を命じられることがあります。

関連記事:退職給付金はどうやってもらうの|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説

失業保険の期間に関するよくある質問

Q. 受給期間の1年を過ぎたら、残りの日数はどうなりますか?

A. 受給期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。受給期間の延長を受けていない場合は、離職日の翌日から1年が期限です。

Q. 受給期間を延長すると、給付日数も増えますか?

A. 増えません。延長されるのは受け取れる期限で、受け取れる日数は所定給付日数のままです。

Q. 育児を理由に延長する場合、いつまで延長できますか?

A. 兵庫労働局の案内では、育児の場合は子が3歳になる誕生日の前々日までとされています。延長できる期間は最大3年間です。

Q. 自分の所定給付日数はどこで確認できますか?

A. ハローワークで受給資格の決定を受けた後に交付される雇用保険受給資格者証で確認できます。

まとめ|失業保険の期間は「日数」と「期限」の両方を確認しよう

  • 失業保険の期間には、受け取れる日数(所定給付日数)と受け取れる期限(受給期間)があります。
  • 所定給付日数は、年齢・被保険者期間・離職理由などで90日〜360日の間で決まります。
  • 受給期間は原則として離職日の翌日から1年間で、手続きが遅れるとその分短くなります。
  • 病気・育児・介護などで30日以上働けない場合や、定年退職後の休養、起業の場合は受給期間を延長できることがあります。
  • 定年退職・起業による延長は、2か月以内の申請が必要です。

まずは自分の所定給付日数を表で確認し、離職日から1年の期限を逆算して、手続きのスケジュールを立ててみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月2日。制度の内容・期間・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。