退職が決まると、「失業保険ってどうやってもらうの?」「いつ、どこへ、何を持っていけばいいの?」と気になりますよね。
結論からお伝えすると、雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれる給付)は、会社から届く離職票を持って、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをすることから始まります。その後、待期、初回説明会、原則4週間に1回の失業認定を経て、指定した口座に振り込まれます。この記事では、失業保険のもらいかたを、退職前の準備から受給開始まで順番に解説します。
この記事のポイント
- 失業保険は、雇用保険の被保険者期間があり、働ける状態で仕事を探している人が対象です。
- 手続きは、離職票の受け取り → ハローワークで求職申込み → 待期7日間 → 初回説明会 → 失業認定 → 振込の順に進みます。
- ハローワークには、離職票、個人番号確認書類、身元確認書類、写真2枚、本人名義の通帳またはキャッシュカードを持参します。
- 正当な理由のない自己都合退職は、待期の後に給付制限があります(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)。
- 受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間のため、退職後は早めに手続きを始めると安心です。
失業保険をもらう前に確認したい2つの条件
失業保険は、退職すれば誰でも受け取れるものではありません。ハローワークが次の2つの条件を確認し、受給資格を決定します。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 失業の状態にあること | 就職しようとする積極的な意思と、いつでも就職できる能力があり、求職活動をしているのに就職できない状態であること |
| 被保険者期間があること | 原則として離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること(倒産・解雇などの特定受給資格者や特定理由離職者は、離職日以前1年間に通算6か月以上でも可) |
病気やけが、妊娠・出産・育児などですぐに働けない場合は、「失業の状態」に当たらないため、すぐには受給できません。その場合は、後述する受給期間の延長や、加入している健康保険の傷病手当金を確認しましょう。
関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説
失業保険をもらうまでの流れ
まずは全体の流れを確認しておきましょう。ハローワークの案内では、失業保険の手続きは次の順番で進みます。
| ステップ | 時期の目安 | やること |
|---|---|---|
| 1. 離職票を受け取る | 退職後 | 会社から雇用保険被保険者離職票(-1、-2)を受け取る |
| 2. 求職申込み・受給資格の決定 | 離職票が届いたら | 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を提出する |
| 3. 待期 | 受給資格決定日から7日間 | 失業の状態で待つ(この期間は支給されない) |
| 4. 初回説明会 | ハローワークが指定する日 | 受給資格者証と失業認定申告書を受け取る |
| 5. 失業の認定 | 原則4週間に1回 | 求職活動の実績などを申告して認定を受ける |
| 6. 受給 | 認定日から通常5営業日 | 指定した口座に基本手当が振り込まれる |
退職前にやっておきたい準備
失業保険の手続きは退職後に行いますが、在職中に確認しておくと、退職後の手続きがスムーズになります。
雇用保険被保険者証の有無を確認する
ハローワークは、できれば在職中に雇用保険被保険者証の有無を確認するよう案内しています。手元にない場合は、会社に保管されていないか確認しておきましょう。
離職証明書の離職理由を確認する
会社がハローワークに提出する離職証明書には、離職前に本人が氏名を記載し、離職理由などの記載内容を確認することになっています。離職理由は、給付制限の有無や所定給付日数に関わる大切な項目です。内容に疑問があれば、記載前に会社に確認しましょう。
離職票の受け取り方法を確認する
離職票は、退職後に会社から郵送などで届くのが一般的です。会社が電子申請で離職手続きを行う場合は、2025年1月20日から、希望すればマイナポータルで離職票を受け取れるようになりました。
マイナポータルで受け取るには、マイナンバーカードを取得してマイナポータルの利用手続きを行い、雇用保険WEBサービスとの連携設定をしておくなどの準備が必要です。利用したい場合は、退職前に会社にも伝えておきましょう。
失業保険のもらいかた|申請から振込までの6ステップ
ここからは、実際の手続きを順番に解説します。
ステップ1:離職票を受け取る
退職後、会社から雇用保険被保険者離職票(-1、-2)が届きます。会社は離職日の翌々日から10日以内に資格喪失の手続きを行い、ハローワークが発行した離職票が会社経由で交付される流れです。
離職日の翌々日から10日を過ぎても届かない場合は、まず会社に処理状況を確認しましょう。会社が手続きをしない場合などは、住所を管轄するハローワークに相談できます。
ステップ2:ハローワークで求職の申込みをし、受給資格の決定を受ける
離職票が届いたら、必要書類を持って住所を管轄するハローワークに行きます。求職の申込みをしたうえで離職票を提出すると、ハローワークが受給要件を満たしているかを確認し、受給資格を決定します。このとき離職理由も判定されます。
雇用保険の手続きは、平日(休祝日・年末年始を除く)の8時30分から17時15分までです。求職の申込みにも時間がかかるため、ハローワークは16時前までの来所を勧めています。離職理由に納得できない場合も、この段階でハローワークに相談できます。
ステップ3:7日間の待期期間を過ごす
受給資格の決定日から、失業の状態にある7日間は「待期」と呼ばれ、基本手当は支給されません。待期は退職理由にかかわらず、すべての人に適用されます。
ステップ4:雇用保険受給者初回説明会に参加する
ハローワークが指定した日時に、雇用保険受給者初回説明会に参加します。受給についての重要な説明があり、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取ります。1回目の失業認定日もここで知らされます。
ステップ5:4週間に1回、失業の認定を受ける
原則として4週間に1回、指定された認定日にハローワークで失業の認定を受けます。失業認定申告書に求職活動の状況などを記入し、雇用保険受給資格者証とともに提出します。
認定を受けるには、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上の求職活動の実績が必要です。給付制限がない人は、最初の認定日までは待期満了後から1回以上で足ります。給付制限がある人は必要な回数が異なるため、初回説明会の案内で確認しましょう。
- 実績になる活動の例:求人への応募、ハローワークでの職業相談・職業紹介、許可・届出のある民間機関での職業相談・職業紹介、公的機関などが行う講習・セミナーの受講
- 実績にならない例:求人情報の閲覧だけ、知人への紹介依頼だけ、職業紹介機関への登録だけ
ステップ6:基本手当が振り込まれる
失業の認定を受けると、通常5営業日ほどで指定した口座に基本手当が振り込まれます(休祝日や年末年始をはさむ場合は遅れることがあります)。その後は、所定給付日数を上限として「失業の認定」と「受給」を繰り返しながら仕事を探します。
関連記事:退職給付金はどうやってもらうの|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説
ハローワークに持っていく必要書類
求職の申込みと受給資格の決定の際は、次の書類を持参します。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか)
- 身元確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど。これらがない場合は、健康保険被保険者証や住民票記載事項証明書などのうち異なる2種類。コピー不可)
- 写真2枚(最近のもの、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm。マイナンバーカードを毎回提示する場合は省略できます)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります)
複数枚の離職票を持っている場合は、短期間のものも含めてすべて提出します。状況によって書類が追加されることもあるため、来所前に管轄のハローワークの案内も確認しておくと安心です。
失業保険はいつからもらえる?受給開始までの期間
手続きから最初の振込までの期間は、退職理由によって変わります。
| 退職理由 | 待期 | 給付制限 | 支給の考え方 |
|---|---|---|---|
| 倒産・解雇など、給付制限がない場合 | 7日間 | なし | 待期満了後の期間について、失業の認定を受けて支給されます |
| 正当な理由のない自己都合退職(退職日が2025年4月1日以降) | 7日間 | 原則1か月 | 給付制限期間が経過した後の期間について、認定を受けて支給されます |
| 退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合、重責解雇の場合 | 7日間 | 3か月 | 給付制限期間が経過した後の期間について、認定を受けて支給されます |
目安として、給付制限がない人は手続きからおよそ1か月、給付制限が1か月の人はおよそ2か月で最初の振込となるのが一つの目安です。ただし、実際の認定日はハローワークが指定するため、時期は人によって前後します。
退職日が2025年3月31日以前の場合、自己都合退職の給付制限は原則2か月です。また、2025年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合は、所定の申出により給付制限が解除されます。
注意:基本手当を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。退職後は早めに手続きを始めましょう。
失業保険はいくらもらえる?基本手当日額と給付日数
失業保険で受け取れる総額は、「1日あたりの金額(基本手当日額)」と「受け取れる日数(所定給付日数)」で決まります。最終的な金額はハローワークが個別に決定するため、ここでは計算の考え方を紹介します。
基本手当日額の計算方法
まず、離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与などは除く)の合計を180で割り、「賃金日額」を出します。基本手当日額は、この賃金日額のおよそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)で、賃金が低い人ほど高い率になります。
基本手当日額には年齢区分ごとに上限額があり、毎年8月1日に見直されます。2026年8月1日からの上限額は次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 |
下限額は、年齢にかかわらず2,562円です(2026年8月1日から)。
所定給付日数(受け取れる日数)
所定給付日数は、離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職理由によって90日から360日の間で決まります。正当な理由のない自己都合退職や定年退職など、一般の離職者の場合は次のとおりです。
| 被保険者であった期間 | 所定給付日数(一般の離職者) |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
倒産・解雇などによる特定受給資格者や、一部の特定理由離職者は、年齢と被保険者期間に応じて90日から330日となり、一般の離職者より手厚くなる場合があります。障害者などの就職困難者は、150日から360日です。
失業保険をもらうときの注意点
アルバイトやパートをしたら必ず申告する
受給中や給付制限期間中にアルバイト・パートなどをした場合は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で正確に申告します。申告せずに基本手当を受け取ると不正受給となり、以後の基本手当等が受けられなくなるほか、返還を命じられ、原則として不正に受けた額の2倍に相当する額以下の納付を命じられます。
認定日には原則として指定日に来所する
失業の認定は、指定された認定日に受けるのが原則です。就職、面接や採用試験、14日以内の病気やけが、親族の看護・危篤・死亡など、やむを得ない理由がある場合は認定日を変更できることがあります。その際は証明書などが必要になるため、早めにハローワークに相談しましょう。
早く就職が決まったら再就職手当を確認する
受給資格の決定後に早く就職が決まり、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるなどの要件を満たす場合は、再就職手当の対象になる可能性があります。就職が決まったら、ハローワークに就職の申告をして手続きを確認しましょう。なお、受給手続きの前に就職先が決まった場合は、再就職手当を受け取れません。
すぐに働けない場合は受給期間の延長を検討する
病気やけが、妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上働けない場合は、ハローワークに申請すると、本来の受給期間1年に働けない日数を加えることができます(加えられる期間は最大3年間)。申請が遅いと所定給付日数のすべてを受け取れない可能性があるため、早めに手続きしましょう。
関連記事:退職給付金とは?失業保険・傷病手当金など対象制度をわかりやすく解説
失業保険のもらいかたに関するよくある質問
Q. 離職票が届かない場合はどうすればいいですか?
A. 離職日の翌々日から10日を過ぎても届かない場合は、まず会社に処理状況を確認しましょう。会社が手続きをしない場合や督促しても届かない場合は、身元確認書類と、退職証明書など退職したことがわかる書類を持って、住所を管轄するハローワークに早めに相談してください。
Q. 失業保険の手続きは退職後いつまでにすればいいですか?
A. 決まった締め切り日はありませんが、基本手当を受け取れるのは原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数が残っていても受給期間が終わってしまうことがあります。離職票が届いた時点で就職先が決まっていない場合は、速やかに手続きを始めましょう。
Q. 自己都合で退職した場合も失業保険はもらえますか?
A. 被保険者期間などの条件を満たせば、自己都合退職でも受給資格の対象になります。正当な理由のない自己都合退職の場合は、待期の後に給付制限があり、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です。離職理由はハローワークが判定するため、個別の扱いは窓口で確認してください。
Q. 求職活動の実績は何回必要ですか?
A. 原則として、前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上必要です。給付制限がない人の最初の認定日までは、待期満了後から1回以上で足ります。給付制限がある人は必要な回数が異なるため、初回説明会やハローワークの案内で確認しましょう。
まとめ|失業保険は離職票が届いたら早めに手続きしよう
- 失業保険(雇用保険の基本手当)は、被保険者期間があり、働ける状態で仕事を探している人が対象です。
- もらいかたは、離職票の受け取り、ハローワークでの求職申込み、待期、初回説明会、失業認定、振込の順に進みます。
- ハローワークには、離職票、個人番号確認書類、身元確認書類、写真、本人名義の通帳などを持参します。
- 正当な理由のない自己都合退職は給付制限があり(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)、最初の振込まで時間がかかります。
- 受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。すぐに働けない場合は受給期間の延長も検討しましょう。
まずは退職前に離職理由と離職票の受け取り方法を確認し、必要書類をそろえるところから始めてみてください。
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参考文献
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- 厚生労働省「基本手当について」
- 厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更〜令和8年8月1日(土)から開始〜」
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
- 京都労働局・ハローワーク リーフレット「2025年1月から、「離職票」をマイナポータルで受け取れるようになります!」
※確認日:2026年10月5日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。