退職を考え始めると、「失業手当は月にいくらもらえるの?」「全部で何日分もらえるの?」と、金額が気になりますよね。

結論からお伝えすると、失業手当(雇用保険の基本手当。一般に失業保険とも呼ばれる給付)の総額は、「1日あたりの金額(基本手当日額)× 受け取れる日数(所定給付日数)」で決まります。基本手当日額は退職前6か月の賃金をもとに計算され、賃金日額のおよそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)です。この記事では、計算方法を3つのステップで解説し、月給別の計算例や金額が変わる条件も紹介します。

この記事のポイント

  • 失業手当の総額は、基本手当日額 × 所定給付日数 で決まります。
  • 賃金日額は、退職前6か月の賃金(賞与を除く)の合計を180で割って出します。
  • 基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%で、賃金が低い人ほど高い率になります。2026年8月1日からの上限額は年齢により7,450円〜9,110円、下限額は2,562円です。
  • 所定給付日数は、離職理由・年齢・被保険者であった期間によって90日〜360日の間で決まります。
  • 受給中のアルバイトや早期の再就職、離職理由などによって、受け取る金額やタイミングが変わります。

失業手当の計算は3ステップ

失業手当の受給額は、次の3つのステップで計算します。

ステップ計算するもの計算方法
1賃金日額退職前6か月の賃金の合計 ÷ 180
2基本手当日額(1日あたりの金額)賃金日額 × 給付率(およそ50〜80%、60歳以上65歳未満は45〜80%)
3受給額の総額の目安基本手当日額 × 所定給付日数

最終的な基本手当日額や所定給付日数は、ハローワークが受給資格を決定する際に個別に決まります。ここで紹介する計算は、あくまで目安を知るためのものです。

ステップ1:賃金日額を計算する

賃金日額は、離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って計算します。

賃金日額 = 退職前6か月の賃金の合計 ÷ 180

ここでいう賃金は、保険料などが差し引かれる前の総支給額です。残業代や通勤手当なども含まれますが、賞与(ボーナス)は含まれません。

賃金日額には上限額と下限額がある

賃金日額には、年齢区分ごとに上限額があり、下限額は年齢にかかわらず3,203円です(2026年8月1日から)。計算した賃金日額が上限額を超える場合は上限額で、下限額を下回る場合は下限額で計算されます。

ステップ2:基本手当日額を計算する

基本手当日額は、賃金日額に給付率を掛けて計算します。給付率はおよそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)で、賃金日額が低い人ほど高い率になる仕組みです。

賃金日額ごとの給付率(30歳以上45歳未満の例)

2026年8月1日からの計算式では、30歳以上45歳未満の人の場合、賃金日額(w)と基本手当日額(y)の関係は次のとおりです。

賃金日額(w)給付率基本手当日額(y)の計算
3,203円以上5,480円未満80%y = 0.8w
5,480円以上13,490円以下80〜50%y = 0.8w − 0.3 ×{(w − 5,480)÷(13,490 − 5,480)}× w
13,490円超16,540円以下50%y = 0.5w
16,540円超―上限額の8,270円

30歳未満と45歳以上60歳未満の人も、賃金日額13,490円以下の部分の計算式は同じで、上限額だけが異なります。60歳以上65歳未満の人は、賃金日額5,480円以上の部分の計算式が異なり、給付率は45〜80%です。

年齢別の上限額と下限額

基本手当日額と、その計算のもとになる賃金日額の上限額は、離職時の年齢によって異なります。2026年8月1日からの金額は次のとおりです。

離職時の年齢賃金日額の上限額基本手当日額の上限額
30歳未満14,900円7,450円
30歳以上45歳未満16,540円8,270円
45歳以上60歳未満18,220円9,110円
60歳以上65歳未満17,400円7,830円

基本手当日額の下限額は、年齢にかかわらず2,562円です。これらの金額は、平均給与額の変動などに応じて、原則として毎年8月1日に見直されます。

ステップ3:所定給付日数を確認する

所定給付日数は、失業手当を受け取れる日数の上限です。離職理由、離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった期間によって、90日から360日の間で決まります。

自己都合退職・定年退職などの場合(一般の離職者)

被保険者であった期間10年未満10年以上20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

倒産・解雇などの場合(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)

離職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日―
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

障害者などの就職困難者は、150日から360日です。離職理由はハローワークが受給資格を決定する際に判定します。

関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説

失業手当の計算例

ここでは、2026年8月1日以降に離職した人を想定し、目安を計算してみます。基本手当日額の1円未満は切り捨てています。

例1:35歳・月給30万円・自己都合退職・勤続8年の場合

  • 賃金日額:30万円 × 6か月 ÷ 180 = 10,000円
  • 基本手当日額:0.8 × 10,000 − 0.3 ×{(10,000 − 5,480)÷(13,490 − 5,480)}× 10,000 ≒ 6,307円(給付率 約63%)
  • 所定給付日数:一般の離職者・被保険者期間10年未満なので90日
  • 総額の目安:6,307円 × 90日 = 567,630円

例2:28歳・月給20万円・会社都合(解雇)・勤続3年の場合

  • 賃金日額:20万円 × 6か月 ÷ 180 ≒ 6,666円(1円未満切り捨て)
  • 基本手当日額:例1と同じ計算式で ≒ 5,036円(給付率 約76%)
  • 所定給付日数:特定受給資格者・30歳未満・被保険者期間1年以上5年未満なので90日
  • 総額の目安:5,036円 × 90日 = 453,240円

例3:40歳・月給45万円の場合

賃金日額は45万円 × 6か月 ÷ 180 = 15,000円です。給付率50%で計算すると7,500円となり、30歳以上45歳未満の上限額8,270円を下回るため、基本手当日額は7,500円です。賃金が高い人ほど給付率は下がり、上限額を超える部分は支給されません。

1か月あたりの目安:失業手当は原則4週間(28日)に1回、認定を受けた日数分がまとめて振り込まれます。例1の場合、1回の認定でおよそ6,307円 × 28日 = 176,596円が目安です(給付制限や就労した日がある場合は変わります)。

失業手当の金額やもらえる時期が変わる条件

離職時の年齢

年齢によって賃金日額と基本手当日額の上限額が異なります。また、倒産・解雇などで離職した場合は、年齢によって所定給付日数も変わります。

離職理由

倒産・解雇などによる特定受給資格者や一部の特定理由離職者は、一般の離職者より所定給付日数が多くなる場合があります。正当な理由のない自己都合退職の場合は、7日間の待期の後に給付制限があり(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)、その期間は支給されません。給付制限は受け取り始める時期を遅らせるもので、所定給付日数が減るわけではありません。

受給中のアルバイト・内職

受給中に1日4時間以上働いた日は「就労」となり、その日の基本手当は支給されません。1日4時間未満の仕事は「内職・手伝い」として扱われ、収入額によっては、その日の基本手当が減額されることがあります。働いた日や収入は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で正確に申告してください。

早期の再就職

受給資格の決定後に早く再就職し、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるなどの条件を満たすと、再就職手当の対象になる可能性があります。支給額は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら支給残日数の70%、3分の1以上なら60%を、基本手当日額に掛けた額です(計算に使う基本手当日額には上限があります)。

関連記事:失業保険もらいかた|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説

受給期間を過ぎた場合

失業手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れてこの期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。病気やけがなどで引き続き30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請できます。

失業手当の計算に関するよくある質問

Q. ボーナス(賞与)は失業手当の計算に含まれますか?

A. 含まれません。賃金日額は、退職前6か月に毎月決まって支払われた賃金(保険料などが差し引かれる前の総支給額)で計算し、賞与は除きます。

Q. 手取りではなく額面で計算するのですか?

A. はい。賃金日額の計算に使うのは、税金や社会保険料が差し引かれる前の総支給額です。給与明細の「総支給額」を確認して計算してみましょう。

Q. 失業手当に税金はかかりますか?

A. 雇用保険の基本手当は非課税です。所得税や住民税はかかりませんが、健康保険の被扶養者になれるかどうかの判断などでは収入として扱われる場合があるため、加入先の健康保険に確認しましょう。

Q. 正確な金額はどこで確認できますか?

A. 受給資格の決定後、初回説明会で受け取る雇用保険受給資格者証に、基本手当日額や所定給付日数が記載されます。事前に目安を知りたい場合は、この記事の計算方法で試算し、詳しくはハローワークに確認してください。

まとめ|失業手当は「基本手当日額 × 所定給付日数」で計算しよう

  • 失業手当の総額は、基本手当日額 × 所定給付日数 で決まります。
  • 賃金日額は退職前6か月の賃金(賞与を除く総支給額)÷ 180で計算します。
  • 基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)で、2026年8月1日からの上限額は7,450円〜9,110円、下限額は2,562円です。
  • 所定給付日数は、離職理由・年齢・被保険者であった期間により90日〜360日です。
  • 給付制限、アルバイト、再就職などによって、受け取る金額や時期が変わります。

まずは給与明細で退職前6か月の総支給額を確認し、自分の場合の目安を計算するところから始めてみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月5日。基本手当日額の上限額・下限額は原則として毎年8月1日に改定されます。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。