病気やけがで仕事を休むことになると、「傷病手当金はいつまでもらえるの?」「途中で復職したら期間はどうなる?」「退職したら打ち切り?」と不安になりますよね。

結論からお伝えすると、傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。2022年1月1日からは、途中で出勤して支給されなかった期間があっても、その分を後ろに繰り越せる「通算」の考え方になりました。また、一定の条件を満たせば、退職後も続けて受け取れます。この記事では、協会けんぽ(全国健康保険協会)の案内をもとに、期間の数え方と退職後の継続給付を解説します。

この記事のポイント

  • 傷病手当金は、連続3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日から支給されます。
  • 支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。途中で出勤した日など、支給されなかった日は期間に含まれません。
  • 通算1年6か月は、支給開始日から暦に従って1年6か月を数えた日数(例:549日)が上限になります。
  • 退職後も、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に受給しているか受給できる状態であれば、継続して受け取れます。退職日に出勤すると対象外です。
  • 傷病手当金を受ける権利は、仕事に就けなかった日ごとに、その翌日から2年で時効になります。

傷病手当金の支給期間は「通算1年6か月」

傷病手当金は、業務外の病気やけがの療養のために仕事を休み、給与を受けられないときに、加入している健康保険から支給される給付です。同じ病気やけがについて受け取れる期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月です。

2022年1月から「通算」に変わった

以前は、支給開始日から1年6か月が経過すると、その間に出勤して支給されなかった日があっても、支給は終了していました。2022年1月1日からは、支給期間中に途中で就労するなどして支給されない期間がある場合、支給開始日から1年6か月を超えても、その分を繰り越して支給できるようになりました。

2021年12月まで2022年1月から
期間の考え方支給開始日から1年6か月で終了支給開始日から通算して1年6か月
途中で出勤した日1年6か月の中に含まれる(その日は支給されず、期間だけ進む)期間に含まれない(その分を後ろに繰り越せる)

2021年12月31日時点で、支給開始日から1年6か月を経過していない傷病手当金(2020年7月2日以降に支給が始まったもの)も、通算の対象になりました。

傷病手当金の期間の数え方

ステップ1:待期3日間が完成する

傷病手当金は、病気やけがの療養のために仕事を休んだ日から連続して3日間(待期)の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。待期3日間には、有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれます。

ただし、待期は連続した3日間でなければ成立しません。2日間休んだ後、3日目に出勤した場合は、待期は完成しません。

ステップ2:支給開始日から1年6か月分の日数を出す

通算1年6か月は、支給開始日(待期の後の4日目)から暦に従って1年6か月を計算し、その日数を支給できる日数の上限とします。厚生労働省が示す例では、次のように計算します。

項目例
初めて仕事を休んだ日3月1日
待期3月1日〜3月3日(3日間)
支給開始日3月4日
暦に従った1年6か月3月4日〜翌年の9月3日
支給できる日数の上限549日

ステップ3:支給された日を通算していく

実際に傷病手当金が支給された日を数えていき、合計が上限の日数に達するまで受け取れます。途中で出勤した日や、給与が全額支払われて傷病手当金が支給されなかった日は数えません。

例えば、上の例で200日分の支給を受けた後に復職し、その後同じ病気で再び仕事を休んだ場合は、残りの349日分を上限に受け取れる可能性があります。

同じ病気やけがについての期間です。支給期間中に別の病気やけがで働けなくなった場合は、病気やけがごとに支給期間が決まります。また、復職後に再び休む場合の扱いは、加入している健康保険に確認しましょう。

傷病手当金を受けるための4つの条件

支給期間の数え方とあわせて、そもそも支給の対象になる条件も確認しておきましょう。協会けんぽでは、次の4つをすべて満たしたときに支給されると案内しています。

条件内容
業務外の病気やけがの療養であること業務上・通勤による病気やけが(労災保険の給付対象)や、美容整形など病気と見なされないものは対象外
仕事に就くことができないこと療養担当者の意見などをもとに、仕事の内容も考慮して判断される
連続3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと待期3日間の後、4日目以降の休んだ日が支給の対象
休んだ期間に給与の支払いがないこと給与が支払われていても、傷病手当金の額より少ない場合は差額が支給される

1日あたりの支給額の目安

1日あたりの支給額は、原則として、支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 3分の2 です。支給開始日以前の加入期間が12か月未満の場合は、加入期間の標準報酬月額の平均額と、協会けんぽ全体の平均額(支給開始日が2025年4月1日以降なら32万円)を比べて、低いほうの額で計算します。

退職後も傷病手当金を受け取れる「継続給付」

傷病手当金は在職中の制度ですが、次の条件を満たせば、退職して健康保険の被保険者でなくなった後も、続けて受け取れます。これを「資格喪失後の継続給付」といいます。

条件内容
被保険者期間退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること(任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者、国民健康保険の期間は除く)
退職時の状態退職日(資格喪失日の前日)に、傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること

退職日に出勤すると継続給付は受けられない

協会けんぽの案内では、退職日の前日までに療養のため継続して3日以上休んでいて、退職日も療養のため休んでいることが必要とされています。退職日に出勤した場合は、継続給付の条件を満たさず、退職日の翌日以降の傷病手当金は支給されません。最終出勤日と退職日の関係は、会社と事前に確認しておきましょう。

継続給付の期間も通算1年6か月まで

継続給付を受けられる期間は、在職中から通算して1年6か月までです。退職によって期間がリセットされたり、延びたりすることはありません。

一度働ける状態になると、その後は支給されない

退職後の継続給付は、いったん仕事に就くことができる状態になると、その後また仕事に就けない状態になっても支給されません。在職中の「通算」とは扱いが異なるため注意が必要です。

傷病手当金の期間に関わる注意点

失業保険とは同時に受け取れない

傷病手当金は「働けない状態」、雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれる給付)は「働ける状態で仕事を探していること」が前提です。そのため、同じ期間に両方を受け取ることはできません。

退職後に傷病手当金を受けている間に、失業保険の受給期間(原則として離職日の翌日から1年間)が過ぎてしまうおそれがある場合は、ハローワークで受給期間の延長を申請できます。病気やけがで引き続き30日以上働けない場合、本来の1年に働けない日数を加えることができます(加えられる期間は最大3年間)。

関連記事:失業保険のもらい方|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説

年金を受け取る場合は調整される

同じ病気やけがで障害厚生年金や障害手当金を受けられる場合や、退職後の継続給付中に老齢厚生年金などの老齢年金を受けられる場合は、傷病手当金が支給されなかったり、調整されたりします。年金の額が傷病手当金より少ない場合は、差額が支給されることがあります。

申請は2年以内に

傷病手当金を受ける権利は、仕事に就けなかった日ごとに、その翌日から2年で時効になります。協会けんぽは、給与の支払いの有無について事業主の証明が必要になるため、1か月単位で給与の締切日ごとに申請することを勧めています。期間が長くなる場合も、定期的に申請しておきましょう。

関連記事:退職給付金とは?失業保険・傷病手当金など対象制度をわかりやすく解説

傷病手当金の期間に関するよくある質問

Q. 1年6か月を過ぎても、まだ働けない場合はどうなりますか?

A. 同じ病気やけがで通算1年6か月分の支給を受けると、傷病手当金は終了します。その後も働けない状態が続く場合は、障害年金の対象になるかなど、ほかの制度を年金事務所などに確認しましょう。

Q. 途中で復職し、また同じ病気で休んだ場合はどうなりますか?

A. 在職中であれば、通算1年6か月のうち残っている日数分を受け取れる可能性があります。再び休む場合も、待期の扱いなどを含めて、加入している健康保険に確認しましょう。

Q. 待期3日間に有給休暇を使ってもいいですか?

A. 待期3日間には、有給休暇や土日・祝日などの公休日も含まれます。ただし、有給休暇で給与が支払われた日は、待期の後であれば傷病手当金は支給されない(または差額のみ支給される)点に注意しましょう。

Q. 健康保険組合に加入している場合も同じですか?

A. 支給期間を通算1年6か月とする仕組みは健康保険法に基づくもので、健康保険組合でも共通です。ただし、健康保険組合によっては独自の上乗せ給付がある場合や、申請書の様式が異なる場合があるため、加入先の案内を確認してください。

まとめ|傷病手当金の期間は「通算」で考えよう

  • 傷病手当金は、連続3日間の待期の後、4日目以降の仕事に就けなかった日から支給されます。
  • 支給期間は支給開始日から通算して1年6か月で、途中で出勤した日などは期間に含まれません。
  • 上限の日数は、支給開始日から暦に従って1年6か月を数えた日数です。
  • 退職後の継続給付には、被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に受給しているか受給できる状態であることが必要で、退職日に出勤すると対象外です。
  • 失業保険とは同時に受け取れないため、退職後も療養が続く場合は、失業保険の受給期間の延長もあわせて検討しましょう。

まずは自分の支給開始日を確認し、残りの日数と、退職を考えている場合は継続給付の条件を整理するところから始めてみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月5日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関・加入している健康保険のページでご確認ください。