自己都合で退職すると、「失業保険はすぐもらえないって本当?」「少しでも早く受け取る方法はない?」と、収入が途切れる期間が気になりますよね。
結論からお伝えすると、正当な理由のない自己都合退職の場合、雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれる給付)は、7日間の待期の後、原則1か月の給付制限が過ぎてから支給の対象になります。ただし、退職に正当な理由がある場合や、教育訓練を受けた場合などは、給付制限がなくなり、待期の後から受け取れることがあります。この記事では、自己都合退職の失業保険の開始時期、給付制限がなくなるケース、給付期間、手続きの進め方を解説します。
この記事のポイント
- 正当な理由のない自己都合退職は、待期7日間の後に給付制限があります(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)。待期はすべての人に適用され、なくすことはできません。
- 体調不良や家庭の事情など正当な理由がある自己都合退職は「特定理由離職者」として、給付制限がありません。
- 2025年4月以降に教育訓練等を受けた(受けている)場合は、申出により給付制限が解除されます。離職前1年以内に受講していれば、待期満了後から解除されます。
- 給付期間(所定給付日数)は、自己都合退職の場合、被保険者期間に応じて90日〜150日です。
- できるだけ早く受け取るには、離職票が届いたらすぐにハローワークで手続きすることが大切です。
自己都合退職の失業保険はいつから?開始時期の基本
失業保険の開始時期は、ハローワークで手続きをした日(受給資格の決定日)から数えます。退職日から数えるのではない点に注意しましょう。正当な理由のない自己都合退職の場合、開始までの流れは次のとおりです。
| 期間 | 長さ | 内容 |
|---|---|---|
| 待期 | 7日間 | 受給資格の決定日から、失業の状態にある7日間。退職理由にかかわらず、すべての人に適用され、この間は支給されない |
| 給付制限 | 原則1か月 | 待期の後、正当な理由のない自己都合退職の場合に、さらに支給されない期間 |
| 支給の対象 | 給付制限の後 | 給付制限が明けた後の期間について、認定日に失業の認定を受けると支給される |
給付制限の長さは退職日と回数で変わる
| ケース | 給付制限 |
|---|---|
| 正当な理由のない自己都合退職(退職日が2025年4月1日以降) | 原則1か月 |
| 正当な理由のない自己都合退職(退職日が2025年3月31日以前) | 原則2か月 |
| 退職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けている場合 | 3か月 |
| 自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇) | 3か月 |
最初の振込はいつ頃?
失業の認定は原則4週間に1回で、認定を受けると通常5営業日ほどで振り込まれます。給付制限が1か月の場合、最初の認定日は給付制限中にあたることが多く、その日には支給がありません。給付制限が明けた後の期間について、次の認定日に認定を受けてから振り込まれるため、手続きからおよそ2か月後が最初の振込の目安です。実際の認定日はハローワークが指定するため、時期は前後します。
給付制限がない場合は、待期が終わった後の期間から支給の対象になり、最初の認定日(手続きからおよそ4週間後)の後に振り込まれるのが目安です。「すぐもらう」といっても、待期7日間と最初の認定日までの期間はかかります。
自己都合でも失業保険をすぐもらえる(給付制限がない)ケース
自己都合退職でも、次のような場合は給付制限がなく、待期の後から支給の対象になります。いずれも、該当するかどうかはハローワークが判断します。
ケース1:正当な理由のある自己都合退職(特定理由離職者)
自分から退職した場合でも、次のような正当な理由がある場合は「特定理由離職者」として扱われ、給付制限がありません。
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などにより離職した
- 妊娠、出産、育児などにより離職し、受給期間の延長措置を受けた
- 父母の扶養や、常に看護が必要な親族のためなど、家庭の事情が急変して離職した
- 配偶者や扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難になった
- 結婚に伴う転居、事業所の移転、配偶者の転勤などで通勤が困難になった
- 企業整備による人員整理などで、希望退職者の募集に応じた
特定理由離職者は、受給に必要な被保険者期間も「離職日以前1年間に通算6か月以上」に短縮されます。該当するかは、医師の診断書や住民票など、事情を確認できる書類をもとにハローワークが判断します。
関連記事:特定理由離職者とは?該当条件・給付日数・必要な確認書類を解説
ケース2:会社側の事情で辞めざるを得なかった(特定受給資格者)
形式上は自分から退職した場合でも、実際には会社側の事情で離職を余儀なくされたときは、「特定受給資格者」に当たることがあります。特定受給資格者には給付制限がなく、所定給付日数も多くなる場合があります。ハローワークが示す例には、次のようなものがあります。
- 賃金の額の3分の1を超える額が、支払期日までに支払われなかった
- 賃金が、予見できない形で85%未満に低下した
- 離職直前に、基準を超える時間外労働が続いていた
- 上司・同僚などから、故意の排斥や著しい冷遇、嫌がらせを受けた
- 事業主から直接または間接に退職するよう勧奨を受けた(早期退職優遇制度などへの応募は除く)
- 会社側の責任による休業が3か月以上続いた
こうした事情がある場合は、給与明細、タイムカード、勤務記録など、事実を確認できる資料をそろえて、ハローワークに相談しましょう。
ケース3:教育訓練等を受けて給付制限を解除する
2025年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合は、所定の申出により給付制限が解除され、基本手当を受給できます。2025年4月1日以降に受講を開始したものが対象で、途中で退校した場合は対象外です。
| 受講した時期 | 給付制限が解除される時期 |
|---|---|
| 離職日前1年以内に受講した場合 | 待期満了後から解除 |
| 離職後に受講を開始した場合 | 受講開始日以降、給付制限を受けない |
対象となるのは、次のような教育訓練です。
- 教育訓練給付金の対象となる教育訓練
- 公共職業訓練等
- 短期訓練受講費の対象となる教育訓練
- これらに準ずるものとして定められた訓練
申出には、訓練開始日が記載された領収書や訓練実施施設による証明書、または訓練修了日が記載された修了証明書が必要です。受給資格の決定日や初回認定日などまでに申し出る必要があるため、在職中から受講を考えている人は、退職前にハローワークで確認しておくと安心です。なお、重責解雇の場合は対象外です。
失業保険をできるだけ早くもらうための手続きの進め方
給付制限の有無にかかわらず、手続きが遅れればその分だけ受け取り始めるのも遅くなります。退職前から次の順番で準備しておきましょう。
- 退職前:会社が作成する離職証明書の離職理由を確認します。正当な理由や会社側の事情がある場合は、事実を確認できる書類を手元にそろえます。
- 退職前:離職票の受け取り方法を確認します。会社が電子申請を行う場合は、マイナポータルで受け取れることもあります。
- 退職後:離職票が届いたら、すぐに住所を管轄するハローワークで求職の申込みをします。会社は離職日の翌々日から10日以内に手続きを行うため、届かない場合は会社に確認します。
- 手続き当日:離職理由について事情があれば、ハローワークに説明し、書類を提出します。教育訓練を受けている場合は、その申出も行います。
- 受給開始まで:待期の後、初回説明会に参加し、認定日までに必要な求職活動の実績をつくります。
注意:実際と異なる退職理由を申告したり、事実と違う書類を提出したりすると、不正受給となります。不正受給をすると、以後の基本手当等が受けられなくなり、返還や、原則として不正に受けた額の2倍に相当する額以下の納付を命じられます。離職理由は、事実のとおりに伝えましょう。
関連記事:失業保険のもらい方|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説
自己都合退職の給付期間(所定給付日数)
失業保険を受け取れる日数の上限(所定給付日数)は、正当な理由のない自己都合退職の場合、年齢にかかわらず被保険者であった期間で決まります。
| 被保険者であった期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
給付制限があっても、所定給付日数が減るわけではありません。ただし、失業保険を受けられる期間は原則として離職日の翌日から1年間で、給付制限の期間もこの1年に含まれます。手続きが遅れると、所定給付日数が残っていても受け取れなくなることがあるため注意しましょう。
なお、特定理由離職者のうち正当な理由のある自己都合で離職した人も、所定給付日数は同じ90日〜150日です。特定受給資格者や、雇止めによる特定理由離職者は、年齢と被保険者期間に応じて90日〜330日となります。
関連記事:失業手当の計算|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説
給付制限中に気をつけたいこと
アルバイトをしたら必ず申告する
給付制限期間中にアルバイト・パートなどをすることはできますが、働いた日は収入の有無にかかわらず失業認定申告書で申告が必要です。働き方によっては就職と扱われる場合もあるため、事前にハローワークに確認しておくと安心です。
給付制限中に就職が決まった場合
受給資格の決定後に早く就職し、条件を満たすと再就職手当の対象になる可能性があります。ただし、給付制限を受けた人は、待期満了後1か月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であることが必要です。
求職活動の実績をつくっておく
給付制限がある人も、認定日には求職活動の実績が必要です。必要な回数は給付制限の長さなどによって異なるため、初回説明会で配られる資料やハローワークの案内で確認しましょう。
失業保険の自己都合・すぐもらうに関するよくある質問
Q. 自己都合退職でも、待期7日間をなくす方法はありますか?
A. ありません。待期7日間は、退職理由にかかわらずすべての人に適用されます。給付制限がない場合でも、支給の対象になるのは待期が終わった後の期間からです。
Q. 退職理由を「会社都合」にしてもらえば、すぐにもらえますか?
A. 離職理由は、会社の記載だけでなく、ハローワークが本人の主張や書類、事業主の主張などを確認して判定します。実際の事情と異なる離職理由を申告することはできません。会社側の事情で辞めざるを得なかった場合は、事実を確認できる資料を持ってハローワークに相談しましょう。
Q. 給付制限中は、国民健康保険料や年金の支払いはどうなりますか?
A. 退職後に国民健康保険・国民年金に加入した場合は、給付制限中も保険料の支払いが必要です。収入が減って支払いが難しい場合は、市区町村や年金事務所で、減免や免除の制度を確認しましょう。
Q. 退職前に教育訓練を受けておくと、給付制限はなくなりますか?
A. 2025年4月1日以降に受講を開始した対象の教育訓練を、離職日前1年以内に受講していた場合は、申出により待期満了後から給付制限が解除されます。対象講座かどうかや申出の期限は、事前にハローワークで確認してください。
まとめ|自己都合でも条件次第で早く受け取れる
- 正当な理由のない自己都合退職は、待期7日間の後に原則1か月の給付制限があり、最初の振込は手続きからおよそ2か月後が目安です。
- 体調不良や家庭の事情など正当な理由がある場合は、特定理由離職者として給付制限がありません。
- 会社側の事情で辞めざるを得なかった場合は、特定受給資格者に当たることがあります。
- 2025年4月以降に教育訓練等を受けた(受けている)場合は、申出により給付制限が解除されます。
- 自己都合退職の給付期間は90日〜150日です。受給期間(原則1年)に給付制限も含まれるため、離職票が届いたらすぐに手続きしましょう。
まずは退職前に、自分の退職理由が給付制限の対象になるかを確認し、事情を説明できる書類を整理するところから始めてみてください。
退職前の給付制度の確認はRE:STARTの無料相談へ
退職理由や雇用保険の加入期間、体調の見通しによって、確認すべき制度や手続きの順番は変わります。自分の場合に何をいつ準備すればよいかを整理したい方は、RE:STARTの無料相談をご確認ください。
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参考文献
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク リーフレット(教育訓練等による給付制限の解除)
- 群馬労働局・ハローワーク リーフレット(給付制限期間の1か月への短縮)
- 厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
※確認日:2026年10月5日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。