失業手当の計算式を見ても、「給与明細のどの数字を使えばいいの?」「残業代で毎月の給料が違う場合は?」と迷いますよね。

結論からお伝えすると、失業手当(雇用保険の基本手当)は、離職前6か月の給与明細の総支給額(賞与を除く)があれば、4つのステップで自分でも計算できます。この記事では、給与明細を使った計算手順と、月ごとに給与が違う場合や時給制の場合の計算例、間違えやすいポイントを解説します。

この記事のポイント

  • 失業手当の総額は「賃金日額→基本手当日額→所定給付日数」の順に計算します。
  • 賃金日額は、離職前6か月の賃金(額面・賞与を除く)の合計を180で割って計算します。残業手当や通勤手当も含まれます。
  • 月ごとに給与が違う場合も、6か月分をそのまま合計して180で割ります。
  • 日給制・時給制の人は、労働日数で割った額の70%を下回らないよう最低保障の計算があります。
  • 計算結果は、ハローワークで交付される雇用保険受給資格者証の賃金日額・基本手当日額の欄で確認できます。

失業手当計算の全体像

一般に失業手当と呼ばれるのは、雇用保険の「基本手当」です。受け取れる総額は、次の4つのステップで計算します。

ステップ計算すること使う情報
1離職前6か月の賃金合計を出す給与明細の総支給額(賞与を除く)
2賃金日額を出す賃金合計÷180
3基本手当日額を出す賃金日額×給付率(年齢別の上限・下限あり)
4総額の目安を出す基本手当日額×所定給付日数

以下では、ステップごとに計算方法を解説します。計算結果は目安で、実際の金額はハローワークが離職票をもとに決定します。

関連記事:失業手当計算シミュレーション|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説

ステップ1:給与明細から賃金合計を出す

使うのは、離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金です。税金や社会保険料が引かれる前の額面(総支給額)を使い、手取り額ではない点に注意しましょう。

賃金に含まれるもの・含まれないもの

含まれるもの(毎月決まって支払われる賃金)含まれないもの
基本給賞与(ボーナス)
残業手当・深夜手当・休日手当退職金
通勤手当結婚祝金など臨時に支払われるもの
住宅手当・家族手当などの各種手当3か月を超える期間ごとに支払われるもの

給与明細に「総支給額」の欄があれば、通常はその金額を使います。ただし、総支給額に臨時の支給が含まれている月は、その分を差し引いて計算しましょう。

どの6か月を使うか

計算に使うのは、原則として、離職日からさかのぼって雇用保険の被保険者期間として数えられる直近の6か月です。被保険者期間は、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または80時間以上ある月を1か月として数えるため、休職などで出勤日数が少ない月は計算の対象から外れることがあります。どの月が対象になるかは、離職票の賃金欄で確認できます。

ステップ2:賃金日額を計算する

賃金日額=離職前6か月の賃金合計÷180

月ごとに残業代などで給与が違う場合も、6か月分をそのまま合計して180で割ります。平均月給を出す必要はありません。

計算例:月ごとに給与が違う場合(34歳)

月総支給額(賞与を除く)
1か月目280,000円
2か月目300,000円
3か月目320,000円
4か月目290,000円
5か月目350,000円
6か月目310,000円
合計1,850,000円

賃金日額は、1,850,000円÷180で10,277円です(1円未満切り捨て)。

日給制・時給制の場合の最低保障

賃金が日給・時間給・出来高払制などで決められている場合は、6か月の賃金合計を、その間に実際に労働した日数で割った額の70%を下回らないよう、最低保障の計算があります。出勤日数が少ないパートやアルバイトの人は、こちらの方が高くなる場合があります。

たとえば、時給1,200円×1日5時間×月20日勤務(月12万円)の人の場合、通常の計算では720,000円÷180で4,000円です。最低保障の計算では、720,000円÷120日×70%で4,200円となり、高い方の4,200円が賃金日額になります。

賃金日額の上限額と下限額

賃金日額には、2026年8月1日から下限額3,203円と、年齢別の上限額(29歳以下14,900円、30〜44歳16,540円、45〜59歳18,220円、60〜64歳17,400円)があります。計算結果がこの範囲を外れる場合は、下限額または上限額に置き換えます。

ステップ3:基本手当日額を計算する

賃金日額に給付率をかけて、1日あたりの金額(基本手当日額)を出します。2026年8月1日からの計算方法は、賃金日額の範囲によって次のとおりです。

賃金日額59歳以下の計算方法60〜64歳の計算方法
3,203円以上5,480円未満賃金日額×80%賃金日額×80%
5,480円以上12,120円以下計算式A計算式Bと計算式Cの低い方
12,120円超13,490円以下計算式A賃金日額×45%
13,490円超賃金日額×50%(上限あり)賃金日額×45%(上限あり)
  • 計算式A:0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,480)÷8,010}×賃金日額
  • 計算式B:0.8×賃金日額-0.35×{(賃金日額-5,480)÷6,640}×賃金日額
  • 計算式C:0.05×賃金日額+4,848

計算例の続き(34歳・賃金日額10,277円)

賃金日額10,277円は5,480円以上13,490円以下のため、計算式Aを使います。

  • (10,277-5,480)÷8,010=0.5988…
  • 0.3×0.5988…×10,277=1,846.3…
  • 0.8×10,277=8,221.6
  • 8,221.6-1,846.3…=6,375.2…→基本手当日額は6,375円(1円未満切り捨て)

給付率は約62%です。時給制の例(賃金日額4,200円)は5,480円未満のため、4,200円×80%で3,360円になります。

基本手当日額の上限額と下限額

離職時の年齢基本手当日額の上限額
29歳以下7,450円
30〜44歳8,270円
45〜59歳9,110円
60〜64歳7,830円

基本手当日額の下限額は、年齢に関係なく2,562円です。上限額・下限額は毎年8月1日に見直されます。

ステップ4:所定給付日数をかけて総額を出す

最後に、基本手当日額に所定給付日数をかけて総額の目安を出します。所定給付日数は、離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職理由によって90日〜360日の間で決まります。

離職理由被保険者であった期間所定給付日数
自己都合退職・定年退職など10年未満90日
自己都合退職・定年退職など10年以上20年未満120日
自己都合退職・定年退職など20年以上150日
倒産・解雇など(特定受給資格者)年齢と期間による90日〜330日
障害のある人など(就職困難者)年齢と期間による150日〜360日

計算例の34歳の人が、加入期間8年で自己都合退職した場合は90日のため、6,375円×90日で573,750円が総額の目安です。4週間(28日)ごとの振込額は、6,375円×28日で178,500円になります。

関連記事:失業保険はいくらもらえる|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説

計算結果を確認する方法

自分で計算した金額は、あくまで目安です。ハローワークで受給資格が決定されると交付される「雇用保険受給資格者証」に、ハローワークが計算した賃金日額と基本手当日額が記載されます。自分の計算と大きく違う場合は、計算に使った月や賃金の範囲が違っていないかを確認し、わからない点はハローワークに質問しましょう。

離職票-2の賃金欄には、離職前の各月の賃金が記載されています。離職票が届いたら、給与明細と照らし合わせて金額に誤りがないかを確認しておくと安心です。

失業手当の計算で間違えやすいポイント

手取り額で計算してしまう

失業手当は、税金や社会保険料が引かれる前の額面で計算します。手取り額で計算すると、実際より少ない金額になります。

賞与を含めてしまう

賞与は計算に含まれません。年収を12で割って月給を出すと、賞与がある人は実際より高い金額になってしまいます。

上限額や給付率の改定を見落とす

賃金日額・基本手当日額の上限額と下限額は、毎年8月1日に見直されます。古い年度の上限額や計算式で計算していないか、厚生労働省の最新の案内で確認しましょう。受給中に改定があった場合は、8月1日以降の認定日に返される受給資格者証に新しい基本手当日額が印字されます。

給付制限で総額が減ると考えてしまう

正当な理由のない自己都合退職の給付制限(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)は、支給開始を遅らせるもので、所定給付日数そのものは減りません。ただし、受給期間(原則として離職日の翌日から1年間)を過ぎると、残りの日数は受け取れなくなります。

関連記事:失業保険はいつからもらえる|申請から振込までの流れ・初回支給の目安・遅いときの確認先

失業手当の計算に関するよくある質問

Q. 残業が多かった月があると失業手当は増えますか?

A. 残業手当も賃金日額に含まれるため、離職前6か月に残業が多い月があれば、その分賃金日額は高くなります。ただし、給付率は賃金日額が高いほど下がり、上限額もあるため、増え方は給与の増え方より小さくなります。

Q. 通勤手当は計算に含めますか?

A. 含めます。通勤手当は毎月決まって支払われる賃金のため、賃金日額の計算に含まれます。数か月分の定期代がまとめて支給されている場合は、月割りした額が各月の賃金として扱われます。

Q. 計算に使う6か月の間に休職していた場合は?

A. 賃金支払いの基礎となった日数が11日未満(かつ80時間未満)の月は、被保険者期間として数えられないため、通常は計算の対象外になり、さらにさかのぼった月が使われます。個別の扱いはハローワークで確認してください。

Q. 65歳以上の場合はどう計算しますか?

A. 65歳以上で離職した場合は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金が一時金で支給されます。基本手当日額は29歳以下と同じ表で計算し、被保険者期間1年以上なら50日分、1年未満なら30日分です。

関連記事:65歳以上の失業保険|年齢別の給付制度・受給条件・申請方法を解説

まとめ|失業手当は給与明細から4ステップで計算できる

  • 失業手当の総額は、賃金合計→賃金日額→基本手当日額→所定給付日数の順に計算します。
  • 賃金日額は、離職前6か月の総支給額(賞与を除く)の合計÷180です。残業手当や通勤手当も含みます。
  • 日給制・時給制の人は、労働日数で割った額の70%の最低保障があります。
  • 基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、2026年8月1日からの上限額は7,450円〜9,110円です。
  • 計算結果は目安です。雇用保険受給資格者証の記載で、実際の金額を確認しましょう。

まずは直近6か月の給与明細を用意して、ステップ1から順に計算してみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月20日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。