「雇用保険の失業給付」と聞いても、「どんな給付があるの?」「自分はどれに当てはまるの?」と分かりにくいですよね。

結論からお伝えすると、雇用保険の失業給付の中心は、65歳未満の一般の被保険者が受け取る「基本手当」です。ただし、65歳以上の人や季節的に雇用されていた人などは、働き方に応じて別の給付を受け取ります。この記事では、雇用保険の失業給付の全体像と、基本手当の受給条件・金額・期間・申請方法を解説します。

この記事のポイント

  • 雇用保険の「失業等給付」には、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付があり、失業中の生活を支える中心が求職者給付の基本手当です。
  • 65歳以上の人は高年齢求職者給付金、季節的に雇用されていた人は特例一時金など、被保険者の種類によって受け取る失業給付が異なります。
  • 基本手当は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あり、失業の状態にある人が受け取れます。
  • 1日あたりの金額は離職前の給与のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、受け取れる日数は90日〜360日です。
  • 公共職業訓練を受ける場合は、基本手当に加えて受講手当や通所手当などを受けられることがあります。

雇用保険の失業給付の全体像

雇用保険は、政府が管掌する強制保険で、労働者を雇用する事業には原則として強制的に適用されます。雇用保険からは、失業等給付と育児休業等給付が支給されます。このうち、失業したときや再就職、能力開発などを支えるのが「失業等給付」です。

失業等給付の種類主な給付目的
求職者給付基本手当、高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者給付金、技能習得手当、傷病手当など失業中の生活の安定と求職活動の支援
就職促進給付再就職手当、就業促進定着手当など早期の再就職の促進
教育訓練給付教育訓練給付金働く人の能力開発の支援
雇用継続給付高年齢雇用継続給付、介護休業給付雇用の継続の支援

一般に「失業給付」「失業保険」と呼ばれるのは、このうち求職者給付の「基本手当」です。

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被保険者の種類で受け取る失業給付が変わる

雇用保険の被保険者には種類があり、離職したときに受け取る失業給付も異なります。

被保険者の種類主な対象離職したときの失業給付
一般被保険者65歳未満で、下記以外の人基本手当(90日〜360日分)
高年齢被保険者65歳以上の人高年齢求職者給付金(基本手当日額の30日分または50日分の一時金)
短期雇用特例被保険者季節的に雇用される人など特例一時金(基本手当日額の30日分。当分の間は暫定措置で40日分)
日雇労働被保険者日々雇用される人、30日以内の期間を定めて雇用される人日雇労働求職者給付金

高年齢求職者給付金

65歳以上の高年齢被保険者が失業した場合は、被保険者であった期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分が一時金で支給されます。算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算6か月以上あることなどが条件で、失業の認定は1回限りです。

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特例一時金

季節的に雇用されている人などの短期雇用特例被保険者が失業した場合は、特例一時金が支給されます。算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算6か月以上あることなどが条件です。支給額は、一般の被保険者とみなして計算した基本手当日額の30日分で、当分の間は暫定措置として40日分です。

基本手当の受給条件

一般の被保険者が基本手当を受け取るには、次の2つをどちらも満たす必要があります。

  • ハローワークで求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思と、いつでも就職できる能力があるのに、職業に就くことができない「失業の状態」にあること
  • 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上あること(特定受給資格者・特定理由離職者は、離職の日以前1年間に通算6か月以上でも可)

病気やけが、妊娠・出産・育児などですぐに就職できない場合や、しばらく休養するつもりの場合は、失業の状態に当たらず、その間は受け取れません。引き続き30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請できます。

雇用保険の被保険者になるのは、原則として1週間の所定労働時間が20時間以上で、同一の事業主に31日以上の雇用見込みがある人です。自分が加入していたかは、給与明細の雇用保険料の控除やマイナポータルで確認できます。

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基本手当の金額

基本手当の1日あたりの金額(基本手当日額)は、離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与を除く)の合計を180で割った「賃金日額」の、およそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。賃金が低い人ほど高い率になります。

離職時の年齢基本手当日額の上限額(2026年8月1日〜)
30歳未満7,450円
30歳以上45歳未満8,270円
45歳以上60歳未満9,110円
60歳以上65歳未満7,830円

下限額は、年齢に関係なく2,562円です。たとえば、30〜44歳で離職前6か月の月給が30万円なら、賃金日額は10,000円、基本手当日額は6,307円が目安です。上限額と下限額は、毎年8月1日に見直されます。

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基本手当を受け取れる期間

所定給付日数

基本手当を受け取れる日数(所定給付日数)は、離職の日における年齢、被保険者であった期間、離職理由によって、90日〜360日の間で決まります。自己都合退職や定年退職などの場合は90日〜150日、倒産・解雇などの特定受給資格者は90日〜330日、障害のある人などの就職困難者は150日〜360日です。

受給期間

基本手当を受け取れる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です(所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)。病気、けが、妊娠、出産、育児などで引き続き30日以上働けない場合は、その日数分だけ受給期間を延長でき、延長できる期間は最長で3年間です。

待期と給付制限

受給資格の決定後、7日間の待期は支給されません。正当な理由のない自己都合退職の場合は、さらに給付制限があり、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です。

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基本手当の申請方法

手順内容
1. 離職票を受け取る退職後、会社から雇用保険被保険者離職票(-1、-2)が届く
2. 求職の申込み・受給資格の決定住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を提出
3. 待期受給資格の決定後、7日間は支給されない
4. 初回説明会雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取り、第1回の失業認定日を知らされる
5. 失業の認定原則として4週間に1回、求職活動の実績などを申告
6. 振込認定日から通常5営業日で口座に振り込まれる

申請には、離職票のほか、個人番号確認書類、身元確認書類、写真2枚(マイナンバーカードを毎回提示する場合は省略可)、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードが必要です。ハローワークでの手続きは平日の8時30分から17時15分までで、16時前までの来所が案内されています。

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基本手当とあわせて受けられる給付

公共職業訓練を受ける場合の手当

ハローワークの職業相談で、再就職のために公共職業訓練等の受講が必要と認められ、受講を指示された場合は、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終わるまで基本手当が支給されます。あわせて、次の手当を受けられます。

手当内容
受講手当訓練を受けた日について日額500円(上限20,000円)
通所手当訓練施設へ通うための交通費。月額最高42,500円
寄宿手当訓練のために家族と別居して寄宿する場合に月額10,700円

雇用保険の傷病手当

求職の申込みをした後に、15日以上引き続いて病気やけがのために職業に就けない場合は、基本手当の代わりに雇用保険の傷病手当が支給されます。日額は基本手当の日額と同額です。14日以内の病気やけがの場合は、基本手当が支給されます。健康保険の傷病手当金とは別の制度です。

早く就職したときの再就職手当

所定給付日数を3分の1以上残して安定した職業に就き、一定の要件を満たすと、残日数の60%(3分の2以上残している場合は70%)分が再就職手当として支給されます。

関連記事:再就職手当条件|対象者・受給要件・対象外になるケースをわかりやすく解説

雇用保険の失業給付を受けるときの注意点

求職活動の実績が必要

失業の認定を受けるには、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上の求職活動の実績が必要です。求人への応募やハローワークでの職業相談などが実績になります。

就労や収入は正しく申告する

偽りその他不正の行為で基本手当等を受けたり、受けようとした場合は、以後の基本手当等を受けられなくなるほか、返還を命じられ、原則として不正に受けた額の2倍に相当する額以下の納付も命じられます。アルバイトなどをした日は、収入の有無にかかわらず申告しましょう。

雇用保険の失業給付に関するよくある質問

Q. 雇用保険の失業給付と失業保険は同じものですか?

A. 一般に「失業保険」と呼ばれているのは、雇用保険の失業給付の中心である基本手当のことです。正式な制度名は雇用保険で、失業保険という保険が別にあるわけではありません。

Q. 育児休業給付も失業給付に含まれますか?

A. 雇用保険からは失業等給付と育児休業等給付が支給され、育児休業給付は失業等給付とは別の区分です。

Q. 健康保険の傷病手当金と雇用保険の傷病手当は同じですか?

A. 別の制度です。健康保険の傷病手当金は在職中や退職後の継続給付として健康保険から、雇用保険の傷病手当は求職の申込み後に病気やけがで働けない場合に雇用保険から支給されます。

まとめ|雇用保険の失業給付は自分の被保険者の種類から確認しよう

  • 雇用保険の失業等給付には、求職者給付・就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付があり、失業中の中心は基本手当です。
  • 65歳以上は高年齢求職者給付金、季節的に雇用されていた人は特例一時金など、被保険者の種類で受け取る給付が異なります。
  • 基本手当は、被保険者期間の条件を満たし、失業の状態にある人が受け取れます。
  • 1日あたりの金額は離職前の給与のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)、日数は90日〜360日、受給期間は原則1年です。
  • 公共職業訓練の受講手当や再就職手当など、あわせて受けられる給付も確認しておきましょう。

まずは自分がどの被保険者に当たるか、雇用保険の加入期間と退職理由を確認するところから始めてみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月20日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。