「失業保険のもらい方を調べてみたけれど、結局いつ、何をすればいいのかわからない」と感じていませんか。
雇用保険の基本手当(一般に失業保険と呼ばれる給付)は、退職してからハローワークで手続きをすれば受け取れる、と思われがちです。しかし実際は、退職前に確認しておきたいことや、受給中に毎回やることがあります。この記事では、失業保険のもらい方を時期別に分けて、やることを順番に解説します。
この記事のポイント
- 失業保険のもらい方は、「退職前」「退職直後」「受給開始まで」「受給中」の4つの時期に分けて考えると整理しやすくなります。
- 退職前は、雇用保険の被保険者期間、離職理由、離職票の受け取り方法を確認しておきます。
- 退職後は、離職票と必要書類をそろえて、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをします。
- 自己都合退職は給付制限があるため、会社都合退職より最初の振込が遅くなります。
- 受給中は、原則4週間に1回の認定日ごとに求職活動の実績と就労・収入を申告します。
失業保険のもらい方は「4つの時期」で整理する
失業保険の手続きは、退職してから受給が終わるまで数か月にわたります。時期ごとにやることを整理すると、次のようになります。
| 時期 | 主にやること | 確認しておきたいポイント |
|---|---|---|
| 退職前 | 被保険者期間・離職理由・離職票の受け取り方法を確認 | 離職理由は、給付制限や所定給付日数に関わります |
| 退職直後 | 離職票を受け取り、必要書類をそろえてハローワークへ | 受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間です |
| 受給開始まで | 待期7日間、初回説明会、最初の失業認定 | 自己都合退職は、待期の後に給付制限があります |
| 受給中 | 原則4週間に1回、認定日に求職活動の実績などを申告 | 働いた日や収入は、収入の有無にかかわらず申告します |
【退職前】失業保険のもらい方を左右する3つの確認
失業保険の手続きは退職後に行いますが、受け取れるかどうか、いつから受け取れるかは、退職前の状況で決まる部分があります。在職中に次の3つを確認しておきましょう。
確認1:雇用保険の被保険者期間が足りているか
失業保険を受け取るには、原則として離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。倒産・解雇などで離職した特定受給資格者や、一部の特定理由離職者は、離職日以前1年間に通算6か月以上でも条件を満たします。
あわせて、退職後に働く意思と能力があり、仕事を探していることも条件です。病気やけがですぐに働けない場合は、すぐには受給できません。
関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説
確認2:離職理由がどう記載されるか
離職理由は、失業保険のもらい方に大きく影響します。主な違いは次のとおりです。
| 離職理由の区分 | 主な例 | 給付制限 | 所定給付日数 |
|---|---|---|---|
| 特定受給資格者 | 倒産、解雇など | なし | 年齢と被保険者期間により90〜330日 |
| 特定理由離職者 | 期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合、その他やむを得ない理由による離職 | なし | 一般の離職者と同じか、一部は特定受給資格者と同じ |
| 一般の離職者(正当な理由のない自己都合退職など) | 自分の都合による退職 | 原則1か月(退職日が2025年4月1日以降) | 被保険者期間により90〜150日 |
会社がハローワークに提出する離職証明書には、離職前に本人が記載内容を確認することになっています。離職理由に疑問があれば、記載前に会社に確認しましょう。最終的な離職理由は、ハローワークが受給資格を決定する際に判定します。
確認3:離職票の受け取り方法と、手元の書類
離職票は、退職後に会社から交付されます。会社が電子申請で離職手続きを行う場合は、2025年1月20日から、希望すればマイナポータルで離職票を受け取れるようになりました。利用するには、マイナンバーカードを取得してマイナポータルの利用手続きを行うなどの準備が必要です。
また、ハローワークは、できれば在職中に雇用保険被保険者証の有無を確認するよう案内しています。手元にない場合は、会社に保管されていないか確認しておくと安心です。
関連記事:雇用保険被保険者証とは?使う場面・確認方法・再発行手続きを解説
【退職直後】ハローワークで申請する前の準備
離職票が届くまでの目安
会社は、離職日の翌々日から10日以内に雇用保険の資格喪失の手続きを行い、ハローワークが発行した離職票が会社を通じて交付されます。離職日の翌々日から10日を過ぎても届かない場合は、まず会社に処理状況を確認し、会社が手続きをしない場合などは、住所を管轄するハローワークに相談しましょう。
必要書類のチェックリスト
ハローワークへ行く前に、次の書類がそろっているか確認しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)(複数枚ある場合は、短期間のものも含めてすべて)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか)
- 身元確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど。ない場合は、健康保険被保険者証や住民票記載事項証明書などのうち異なる2種類。コピー不可)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm。マイナンバーカードを毎回提示する場合は省略可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります)
ハローワークへ行く日の注意点
手続きをするのは、住所を管轄するハローワークです。雇用保険の手続きは平日(休祝日・年末年始を除く)の8時30分から17時15分までで、求職の申込みにも時間がかかるため、ハローワークは16時前までの来所を勧めています。時間に余裕をもって出かけましょう。
【受給開始まで】申請から最初の振込までの手順
ハローワークで手続きをしてから、最初の振込までは次の順番で進みます。
- 求職の申込みと離職票の提出:ハローワークが受給要件を確認し、受給資格を決定します。離職理由もこのとき判定されます。
- 待期(7日間):受給資格の決定日から、失業の状態にある7日間は支給されません。退職理由にかかわらず、すべての人に適用されます。
- 雇用保険受給者初回説明会:指定日時に参加し、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取ります。1回目の失業認定日もここで知らされます。
- 失業の認定:原則4週間に1回、指定された認定日にハローワークで認定を受けます。
- 振込:認定を受けると、通常5営業日ほどで指定した口座に振り込まれます。
退職理由別のスケジュール例
最初の振込までの期間は、給付制限があるかどうかで大きく変わります。あくまで目安ですが、流れのイメージは次のとおりです。
| 時期の目安 | 会社都合退職など(給付制限なし) | 自己都合退職(給付制限1か月) |
|---|---|---|
| 手続き当日 | 求職の申込み・受給資格の決定 | 求職の申込み・受給資格の決定 |
| 〜7日目 | 待期 | 待期 |
| 8日目〜 | 支給の対象となる期間が始まる | 給付制限(原則1か月) |
| 約4週間後 | 初回の認定日 → 待期満了後の分が振り込まれる | 初回の認定日(給付制限中のため、支給はない) |
| 約8週間後 | 2回目の認定日 | 2回目の認定日 → 給付制限が明けた後の分が振り込まれる |
実際の認定日はハローワークが指定するため、時期は人によって前後します。退職日が2025年3月31日以前の場合、自己都合退職の給付制限は原則2か月です。また、2025年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合は、所定の申出により給付制限が解除されます。
注意:基本手当を受けられる期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。給付制限の期間もこの1年に含まれるため、手続きが遅れると、所定給付日数が残っていても受け取れなくなることがあります。
【受給中】認定日ごとにやること
求職活動の実績をつくる
失業の認定を受けるには、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上の求職活動の実績が必要です。給付制限がない人は、最初の認定日までは待期満了後から1回以上で足ります。給付制限がある人は必要な回数が異なるため、初回説明会の案内で確認しましょう。
| 実績になる活動の例 | 実績にならない例 |
|---|---|
| 求人への応募、ハローワークでの職業相談・職業紹介、許可・届出のある民間機関での職業相談・職業紹介、公的機関などが行う講習・セミナーの受講 | 求人情報の閲覧だけ、知人への紹介依頼だけ、職業紹介機関への登録だけ |
失業認定申告書で就労・収入を正しく申告する
認定日には、失業認定申告書に求職活動の状況や、アルバイトなどで働いた日・収入を記入し、雇用保険受給資格者証とともに提出します。働いた日は、収入の有無にかかわらず申告が必要です。申告しないで受給すると不正受給となり、以後の基本手当等が受けられなくなるほか、返還や、原則として不正に受けた額の2倍に相当する額以下の納付を命じられます。
認定日に行けないときは事前に相談する
失業の認定は、指定された認定日に受けるのが原則です。就職、面接や採用試験、14日以内の病気やけが、親族の看護・危篤・死亡など、やむを得ない理由がある場合は、認定日を変更できることがあります。証明書などが必要になるため、早めにハローワークに相談しましょう。
失業保険のもらい方でつまずきやすいポイント
離職理由に納得できない
離職票に記載された離職理由が実態と違うと感じる場合は、ハローワークで受給資格の決定を受ける際に相談できます。離職理由によって給付制限や所定給付日数が変わるため、事情がわかる資料があれば持参するとよいでしょう。
すぐに働ける状態ではない
病気やけが、妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けない場合は、すぐには受給できません。ハローワークに申請すると、本来の受給期間1年に働けない日数を加えることができます(加えられる期間は最大3年間)。体調面に不安がある場合は、加入している健康保険の傷病手当金もあわせて確認しましょう。
受給手続きの前に就職先が決まった
受給資格の決定後に早く就職し、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるなどの条件を満たすと、再就職手当の対象になる可能性があります。ただし、基本手当の受給手続きをする前に再就職先が決まった場合は、再就職手当を受け取れません。
65歳以上で退職した
65歳以上で離職した場合は、基本手当ではなく、高年齢求職者給付金として一時金で支給されます。受給条件や支給額が異なるため、年齢に合った制度を確認しましょう。
関連記事:65歳以上の失業保険|年齢別の給付制度・受給条件・申請方法を解説
失業保険のもらい方に関するよくある質問
Q. 会社都合か自己都合かは、誰が決めるのですか?
A. 会社が離職証明書に離職理由を記載しますが、最終的にはハローワークが受給資格を決定する際に判定します。記載内容に納得できない場合は、ハローワークに相談してください。
Q. 給付制限中にアルバイトをしてもいいですか?
A. 給付制限期間中を含め、アルバイト・パートなどをした日は、収入の有無にかかわらず失業認定申告書で正確に申告する必要があります。働き方によっては就職と扱われる場合もあるため、事前にハローワークに確認しておくと安心です。
Q. 受給中に就職が決まったらどうすればいいですか?
A. ハローワークに就職の申告をします。就職日が次回の認定日より前なら、原則として就職日の前日に来所します。再就職手当の条件を満たす場合は、就職した日の翌日から1か月以内に支給申請書を提出します。
Q. いくらもらえるのかを事前に知る方法はありますか?
A. 1日あたりの金額(基本手当日額)は、退職前6か月の賃金をもとに、賃金日額のおよそ50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)で計算されます。正確な金額は、受給資格の決定後に受け取る雇用保険受給資格者証で確認できます。
関連記事:失業手当の計算|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説
まとめ|失業保険は時期ごとにやることを押さえてもらおう
- 失業保険のもらい方は、「退職前」「退職直後」「受給開始まで」「受給中」の4つの時期に分けて準備すると迷いにくくなります。
- 退職前に、被保険者期間、離職理由、離職票の受け取り方法を確認しておきましょう。
- 退職後は、離職票などの必要書類をそろえ、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをします。
- 自己都合退職は給付制限(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)があり、最初の振込まで時間がかかります。
- 受給中は、認定日ごとに求職活動の実績と、働いた日・収入を正確に申告します。
まずは在職中に、離職理由と離職票の受け取り方法を確認するところから始めてみてください。
退職前の給付制度の確認はRE:STARTの無料相談へ
退職理由や雇用保険の加入期間、体調の見通しによって、確認すべき制度や手続きの順番は変わります。自分の場合に何をいつ準備すればよいかを整理したい方は、RE:STARTの無料相談をご確認ください。
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参考文献
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- 厚生労働省「基本手当について」
- 厚生労働省「Q&A〜労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)」
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
- 京都労働局・ハローワーク リーフレット「2025年1月から、「離職票」をマイナポータルで受け取れるようになります!」
- 厚生労働省・ハローワーク リーフレット「再就職手当のご案内」
※確認日:2026年10月5日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。