退職を考え始めると、「失業手当はいくらもらえるの?」「自分の給料だと合計でどのくらいになるの?」と気になりますよね。

結論からお伝えすると、失業手当(雇用保険の基本手当)の総額は「基本手当日額×所定給付日数」で決まります。基本手当日額は離職前6か月の給与から、所定給付日数は年齢・雇用保険の加入期間・離職理由から決まるため、3つのステップで自分でも目安を計算できます。この記事では、2026年8月1日以降の金額をもとに、計算方法とケース別のシミュレーションを解説します。

この記事のポイント

  • 失業手当の総額は「基本手当日額×所定給付日数」で決まります。
  • 賃金日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って計算します。賞与は含みません。
  • 基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、給与が低い人ほど高い率になります。2026年8月1日からの上限額は年齢により7,450円〜9,110円、下限額は2,562円です。
  • 所定給付日数は90日〜360日で、会社都合などで離職した特定受給資格者は日数が多くなる場合があります。
  • 自己都合退職の給付制限は、支給が始まる時期を遅らせるものですが、受給期間(原則1年)を過ぎると残りの日数は受け取れなくなります。

失業手当の受給額は「基本手当日額×所定給付日数」で決まる

一般に失業手当や失業保険と呼ばれるのは、雇用保険の「基本手当」です。基本手当は、失業の認定を受けた日数分が、原則4週間に1回まとめて振り込まれます。受け取れる総額の目安は、次の式で計算できます。

失業手当の総額の目安=基本手当日額(1日あたりの金額)×所定給付日数(受け取れる日数の上限)

計算の流れは、次の3ステップです。

ステップ計算すること決まり方
ステップ1賃金日額離職前6か月の賃金合計÷180
ステップ2基本手当日額賃金日額×給付率(年齢別の上限額・下限額あり)
ステップ3所定給付日数離職時の年齢・雇用保険の加入期間・離職理由

なお、受給するには、離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることなどが必要です。倒産・解雇などによる特定受給資格者や特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上でも受給資格を得られます。

関連記事:失業保険のもらい方|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説

ステップ1:賃金日額を計算する

賃金日額は、離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った金額です。賞与(ボーナス)など臨時に支払われるものは含みません。

賃金日額=離職前6か月の賃金合計(賞与を除く)÷180

ここでいう賃金は、税金や社会保険料が引かれる前の額面です。基本給のほか、残業手当や通勤手当など毎月支払われる手当も含まれます。たとえば、離職前6か月の月給が毎月30万円だった場合は、30万円×6か月÷180で、賃金日額は10,000円になります。

賃金日額には下限額と年齢別の上限額があります。2026年8月1日からの下限額は3,203円で、上限額は29歳以下が14,900円、30〜44歳が16,540円、45〜59歳が18,220円、60〜64歳が17,400円です。計算した賃金日額がこの範囲を外れる場合は、下限額または上限額に置き換えて計算します。

実際の賃金日額は、ハローワークが離職票の賃金欄をもとに決定し、雇用保険受給資格者証に記載されます。月によって残業代が大きく変わる人は、給与明細の総支給額を6か月分合計して計算すると、実際の金額に近づきます。

ステップ2:基本手当日額を計算する

基本手当日額は、賃金日額に給付率をかけた金額です。給付率は賃金日額が低いほど高く、およそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)の範囲で決まります。

2026年8月1日からの給付率と基本手当日額

厚生労働省のリーフレットをもとに、賃金日額ごとの給付率と基本手当日額を整理すると、次のとおりです。

離職時の年齢賃金日額給付率基本手当日額
全年齢共通3,203円以上5,480円未満80%2,562円〜4,383円
59歳以下5,480円以上13,490円以下80%〜50%4,384円〜6,745円
29歳以下13,490円超14,900円以下50%6,745円〜7,450円
30〜44歳13,490円超16,540円以下50%6,745円〜8,270円
45〜59歳13,490円超18,220円以下50%6,745円〜9,110円
60〜64歳5,480円以上12,120円以下80%〜45%4,384円〜5,454円
60〜64歳12,120円超17,400円以下45%5,454円〜7,830円

賃金日額が5,480円以上13,490円以下(60〜64歳は12,120円以下)の範囲では、給付率が段階的に下がります。この範囲の基本手当日額は、次の式で計算します。

  • 59歳以下:基本手当日額=0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,480)÷8,010}×賃金日額
  • 60〜64歳:「0.8×賃金日額-0.35×{(賃金日額-5,480)÷6,640}×賃金日額」と「0.05×賃金日額+4,848」のいずれか低い方

式がわかりにくい場合は、賃金日額が5,480円に近いほど80%、13,490円に近いほど50%に近づくと考えると目安をつけやすくなります。

基本手当日額の上限額と下限額

基本手当日額にも上限額と下限額があり、毎年8月1日に見直されます。2026年8月1日からの金額は次のとおりです。

離職時の年齢賃金日額の上限額基本手当日額の上限額
29歳以下14,900円7,450円
30〜44歳16,540円8,270円
45〜59歳18,220円9,110円
60〜64歳17,400円7,830円
全年齢(下限)3,203円2,562円

たとえば29歳で賃金日額が17,000円の人は、上限額の14,900円が適用され、基本手当日額は7,450円になります。給与が高い人ほど、給与に対する受給額の割合は低くなる仕組みです。

ステップ3:所定給付日数を確認する

所定給付日数は、基本手当を受け取れる日数の上限です。離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職理由によって、90日〜360日の間で決まります。

自己都合退職・定年退職など(一般の離職者)

特定受給資格者・一部の特定理由離職者・就職困難者に当てはまらない場合は、年齢にかかわらず次の日数です。

被保険者であった期間所定給付日数
10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

倒産・解雇などによる離職(特定受給資格者・一部の特定理由離職者)

倒産や解雇などで、再就職の準備をする時間的余裕なく離職した特定受給資格者は、年齢と加入期間に応じて日数が多くなる場合があります。期間の定めのある労働契約が更新されなかったことによる特定理由離職者の一部も、離職日が2027年3月31日までであれば同じ日数です。

離職時の年齢1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日―
30歳以上35歳未満90日120日180日210日240日
35歳以上45歳未満90日150日180日240日270日
45歳以上60歳未満90日180日240日270日330日
60歳以上65歳未満90日150日180日210日240日

障害のある人などの就職困難者は、45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日(被保険者期間1年以上の場合)と、さらに日数が多く設定されています。自分がどの区分に当たるかは、離職票の離職理由をもとにハローワークが判定します。

関連記事:特定理由離職者とは?該当条件・給付日数・必要な確認書類を解説

失業手当計算シミュレーション|ケース別の受給額

ここまでの計算方法をもとに、よくあるケースで受給額をシミュレーションします。毎月の給与が6か月とも同じで、2026年8月1日以降の基準で計算した場合の目安です(1円未満は切り捨て)。

ケース賃金日額基本手当日額所定給付日数総額の目安
25歳・月給22万円・自己都合・加入3年7,333円5,357円90日約48万円
32歳・月給30万円・自己都合・加入8年10,000円6,307円90日約57万円
45歳・月給40万円・会社都合・加入20年13,333円6,744円330日約223万円
50歳・月給60万円・自己都合・加入25年18,220円(上限)9,110円(上限)150日約137万円
62歳・月給25万円・定年退職・加入30年8,333円5,264円150日約79万円

ケース1:25歳・月給22万円・自己都合退職・加入3年

賃金日額は、22万円×6か月÷180で7,333円です。5,480円以上13,490円以下のため、式に当てはめると基本手当日額は5,357円になり、給付率は約73%です。自己都合退職で加入期間10年未満のため所定給付日数は90日で、総額は5,357円×90日で482,130円が目安です。

ケース2:32歳・月給30万円・自己都合退職・加入8年

賃金日額は10,000円で、基本手当日額は6,307円(給付率約63%)です。所定給付日数は90日のため、総額は567,630円が目安です。4週間(28日)分の認定ごとに振り込まれる額は、6,307円×28日で約17.7万円になります。

ケース3:45歳・月給40万円・会社都合退職・加入20年

賃金日額は13,333円で、基本手当日額は6,744円(給付率約51%)です。特定受給資格者で45歳以上60歳未満、加入20年以上のため、所定給付日数は330日です。総額は6,744円×330日で2,225,520円が目安になり、同じ給与でも自己都合退職の場合(150日・約101万円)と比べて大きな差が出ます。

ケース4:50歳・月給60万円・自己都合退職・加入25年

賃金日額を計算すると20,000円ですが、45〜59歳の上限額18,220円を超えるため、基本手当日額は上限の9,110円になります。所定給付日数は加入20年以上で150日のため、総額は1,366,500円が目安です。月給に対する割合は約46%にとどまります。

ケース5:62歳・月給25万円・定年退職・加入30年

賃金日額は8,333円です。60〜64歳の計算式では、2つの式のうち低い方の5,264円が基本手当日額になります。定年退職は一般の離職者として扱われ、加入20年以上の所定給付日数は150日のため、総額は789,600円が目安です。

注意:ここでの金額はあくまで目安です。実際の基本手当日額や所定給付日数は、離職票の賃金や離職理由をもとにハローワークが決定します。

失業手当の金額や給付日数が変わる条件

同じ月給でも、次の条件によって受給額や受け取れる時期が変わります。

離職時の年齢

年齢によって、賃金日額・基本手当日額の上限額と、特定受給資格者の所定給付日数が変わります。60〜64歳は給付率の下限が45%になるため、59歳以下より基本手当日額が低くなる場合があります。65歳以上で離職した場合は基本手当ではなく、高年齢求職者給付金として、被保険者期間1年以上で基本手当日額の50日分、1年未満で30日分が一時金で支給されます。

関連記事:65歳以上の失業保険|年齢別の給付制度・受給条件・申請方法を解説

離職理由

会社都合などの特定受給資格者は所定給付日数が多くなる場合があり、正当な理由のない自己都合退職は給付制限がかかります。離職理由は受給額に大きく影響するため、離職証明書に記載された理由が実態と違う場合は、ハローワークの手続きの際に申し出ましょう。

雇用保険の被保険者期間

被保険者であった期間が長いほど、所定給付日数は多くなります。自己都合退職でも、加入期間が10年以上で120日、20年以上で150日になります。転職で前の会社の加入期間を通算できるかどうかは、間をあけた期間や前回の受給の有無によって変わるため、ハローワークで確認してください。

離職前6か月の給与

賃金日額は離職前6か月の給与だけで決まります。残業が多かった月が含まれると賃金日額は高くなり、休職などで給与が少ない月が含まれると低くなります。賞与は含まれないため、年収が同じでも賞与の割合が高い人は基本手当日額が低めになります。

毎年8月1日の金額改定

賃金日額・基本手当日額の上限額と下限額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減をもとに、毎年8月1日に見直されます。受給中に改定があった場合、対象者には8月1日以降の認定日に返される受給資格者証に新しい基本手当日額が印字されます。

給付制限と受給期間

正当な理由のない自己都合退職は、7日間の待期の後に給付制限があります。退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月、退職日からさかのぼって5年間に2回以上の自己都合退職で受給資格決定を受けた場合などは3か月です。給付制限は支給開始を遅らせるもので、所定給付日数そのものが減るわけではありません。

ただし、基本手当を受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間(所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)です。手続きが遅れてこの期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れないため、離職票が届いたら早めに手続きしましょう。

関連記事:失業保険自己都合すぐもらう|失業保険の開始時期・給付期間・手続きを解説

早く就職した場合は再就職手当の金額も計算しておく

基本手当の受給資格決定後に早く安定した職業に就き、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるなど一定の要件を満たすと、再就職手当を受け取れる場合があります。支給額は次のとおりです。

  • 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:基本手当日額×支給残日数×70%
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:基本手当日額×支給残日数×60%

このときの基本手当日額には上限があり、2027年7月31日までは離職時の年齢が60歳未満で6,745円、60歳以上65歳未満で5,454円です。たとえばケース2の人(基本手当日額6,307円・所定給付日数90日)が、支給残日数70日で就職した場合は、6,307円×70日×70%で約30.9万円が目安になります。

失業手当を計算するときの注意点

アルバイトなどをした日は正しく申告する

受給中にアルバイトや手伝いをした場合は、収入の有無にかかわらず、失業認定申告書で申告する必要があります。就労した日は基本手当が支給されず、内職などの収入があった日は減額される場合があります。申告しないと不正受給となり、受け取った額の返還に加えて、原則としてその2倍に相当する額以下の納付を命じられることがあります。

失業手当に所得税はかからない

雇用保険の基本手当は非課税のため、所得税や住民税はかかりません。ただし、受給中も国民健康保険料や国民年金保険料などは自分で支払う必要があるため、生活費を計算するときは差し引いて考えましょう。

最終的な金額はハローワークで確認する

この記事のシミュレーションは、毎月の給与が一定で、離職理由や加入期間が確定している場合の目安です。実際の金額は、ハローワークで受給資格が決定された後に交付される雇用保険受給資格者証で確認できます。

失業手当の計算に関するよくある質問

Q. 手取りの給料で計算してもいいですか?

A. 賃金日額は、税金や社会保険料が引かれる前の額面の賃金で計算します。手取りで計算すると、実際より少ない金額になるため注意しましょう。

Q. ボーナスは失業手当の計算に含まれますか?

A. 含まれません。賃金日額は離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金で計算するため、賞与など臨時に支払われるものは除かれます。

Q. パートやアルバイトでも失業手当はもらえますか?

A. 雇用保険に加入していて、受給要件を満たせば受け取れます。計算方法は正社員と同じで、賃金日額が低い場合は給付率が80%に近づきます。週の所定労働時間が短く雇用保険に加入していなかった場合は対象外のため、離職票の有無を確認してください。

Q. 失業手当は1回にいくら振り込まれますか?

A. 原則として4週間に1回、失業の認定を受けた日数分がまとめて振り込まれます。基本手当日額×28日がおおよその1回分の目安ですが、初回は待期や給付制限の期間があるため、日数が少なくなることがあります。

まとめ|失業手当は3ステップで目安を計算できる

  • 失業手当(基本手当)の総額は「基本手当日額×所定給付日数」で決まります。
  • 賃金日額は、離職前6か月の賞与を除く賃金合計(額面)を180で割って計算します。
  • 基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、2026年8月1日からの上限額は7,450円〜9,110円、下限額は2,562円です。
  • 所定給付日数は年齢・加入期間・離職理由で決まり、会社都合などの特定受給資格者は日数が多くなる場合があります。
  • 自己都合退職の給付制限や受給期間(原則1年)にも注意し、早めに手続きを始めましょう。

まずは直近6か月の給与明細を用意して、自分の賃金日額を計算するところから始めてみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月20日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。