退職を考え始めると、「失業給付金って何?」「自分ももらえるの?」「いくら、いつまでもらえるの?」と気になりますよね。
結論からお伝えすると、一般に失業給付金や失業保険と呼ばれるのは、雇用保険の「基本手当」です。雇用保険に一定期間加入していた人が、離職して仕事を探している間に、離職前の給与のおよそ50〜80%を、90日〜360日の範囲で受け取れます。この記事では、受給条件・金額・期間・申請方法を順番にわかりやすく解説します。
この記事のポイント
- 失業給付金(基本手当)は、雇用保険の被保険者だった人が、働く意思と能力があるのに仕事に就けない「失業の状態」のときに受け取れます。
- 原則として、離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です(倒産・解雇などの場合は1年間に6か月以上でも可)。
- 1日あたりの金額は離職前の給与のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、2026年8月1日からの上限額は7,450円〜9,110円です。
- 受け取れる日数は90日〜360日で、受け取れる期間は原則として離職日の翌日から1年間です。
- 申請は、離職票を持って住所を管轄するハローワークで求職の申込みをするところから始まります。
失業給付金とは
失業給付金は、雇用保険の被保険者が離職したときに、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるように支給される給付です。正式には雇用保険の「基本手当」といい、一般に失業保険や失業手当とも呼ばれます。
雇用保険からは、基本手当のほかにも、早く就職したときの再就職手当や、65歳以上の人が受け取る高年齢求職者給付金など、状況に応じた給付があります。この記事では、中心となる基本手当について解説します。
| 給付の名前 | 主な対象 |
|---|---|
| 基本手当(失業給付金) | 65歳未満で離職し、仕事を探している人 |
| 再就職手当 | 基本手当の受給資格決定後、早く安定した職業に就いた人 |
| 高年齢求職者給付金 | 65歳以上の高年齢被保険者が失業した場合(一時金) |
| 傷病手当(雇用保険) | 求職の申込み後に、15日以上続けて病気やけがで働けない人 |
関連記事:退職給付金制度|退職前に確認したい給付制度・必要書類・手続きの順番
失業給付金の受給条件
失業給付金を受け取るには、次の2つをどちらも満たす必要があります。
条件1:「失業の状態」にあること
ハローワークで求職の申込みをし、就職しようとする積極的な意思と、いつでも就職できる能力があるのに、仕事に就けない状態であることが必要です。次のような場合は失業の状態に当たらず、その間は受け取れません。
- 病気やけがのため、すぐには就職できないとき
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
- 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
病気やけがなどで引き続き30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請しておくと、働ける状態になってから受け取れます。
条件2:雇用保険の被保険者期間があること
原則として、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。倒産・解雇などで離職した特定受給資格者や、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことなどによる特定理由離職者は、離職の日以前1年間に通算6か月以上でも条件を満たします。
被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月として数えます。
関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説
失業給付金の金額
失業給付金の1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。離職した日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与を除く)の合計を180で割った「賃金日額」の、およそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金が低い人ほど高い率になります。
受け取れる総額の目安=基本手当日額×所定給付日数
月給別の1日あたりの金額の目安
2026年8月1日以降の基準で、離職前6か月の月給(額面)が毎月同じだった場合の目安は次のとおりです(30〜44歳の場合)。
| 離職前の月給 | 1日あたりの金額 | 4週間(28日)分 |
|---|---|---|
| 20万円 | 5,036円 | 約14.1万円 |
| 25万円 | 5,775円 | 約16.2万円 |
| 30万円 | 6,307円 | 約17.7万円 |
| 40万円 | 6,744円 | 約18.9万円 |
| 50万円 | 8,270円(上限) | 約23.2万円 |
1日あたりの上限額と下限額
基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が定められており、2026年8月1日からは、30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円です。下限額は年齢に関係なく2,562円です。上限額と下限額は毎年8月1日に見直されます。
関連記事:失業手当計算|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説
失業給付金を受け取れる期間
受け取れる日数(所定給付日数)
受け取れる日数の上限(所定給付日数)は、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職理由によって、90日〜360日の間で決まります。
| 離職理由 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 自己都合退職・定年退職など | 加入期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日 |
| 倒産・解雇など(特定受給資格者・一部の特定理由離職者) | 年齢と加入期間に応じて90日〜330日 |
| 障害のある人など(就職困難者) | 年齢と加入期間に応じて150日〜360日 |
受け取れる期間(受給期間)
失業給付金を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職した日の翌日から1年間です(所定給付日数330日の人は1年と30日、360日の人は1年と60日)。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。
病気やけが、妊娠・出産・育児などの理由で引き続き30日以上働けない場合は、申請により、働けない日数分だけ受給期間を延長できます。延長できる期間は最長で3年間です。
待期と給付制限
ハローワークで受給資格の決定を受けた後、失業の状態にある7日間は「待期」と呼ばれ、離職理由にかかわらず支給されません。さらに、正当な理由のない自己都合退職の場合は、待期の後に給付制限があり、その間は支給されません。
| 離職理由 | 待期 | 給付制限 |
|---|---|---|
| 倒産・解雇など | 7日間 | なし |
| 正当な理由のない自己都合退職(退職日が2025年4月1日以降) | 7日間 | 原則1か月 |
| 5年間に2回以上の正当な理由のない自己都合退職、重責解雇 | 7日間 | 3か月 |
2025年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合は、所定の申出により給付制限が解除される仕組みもあります。
関連記事:失業保険はいつからもらえる|申請から振込までの流れ・初回支給の目安・遅いときの確認先
失業給付金の申請方法
申請から受給までの流れ
- 退職後、会社から雇用保険被保険者離職票(-1、-2)を受け取ります。
- 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を提出して受給資格の決定を受けます。
- 7日間の待期を過ごします。
- 雇用保険受給者初回説明会に参加し、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取ります。
- 原則として4週間に1回、指定された失業認定日にハローワークで失業の認定を受けます。
- 認定日から通常5営業日で、指定した口座に振り込まれます。
ハローワークでの手続きは平日の8時30分から17時15分までで、求職の申込みに時間がかかるため、16時前までに来所するよう案内されています。
申請に必要な書類
- 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか)
- 身元確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm。マイナンバーカードを毎回提示する場合は省略可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
必要な書類は状況によって追加されることがあります。来所前に、管轄のハローワークの案内も確認しておきましょう。
関連記事:失業保険のもらい方|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説
失業給付金を受給中に気をつけたいこと
求職活動の実績が必要
失業の認定を受けるには、原則として前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上の求職活動の実績が必要です。求人への応募やハローワークでの職業相談などが実績になり、職業紹介機関への登録や求人情報の閲覧だけでは実績に該当しません。
アルバイトなどをしたら申告する
受給中にアルバイトやパートなどをした日は、収入の有無にかかわらず、失業認定申告書で申告する必要があります。ハローワークは、就労や収入を申告しないことを不正受給の例として挙げています。不正受給をすると、以後の基本手当等が受けられなくなり、返還を命じられるほか、原則として不正に受けた額の2倍に相当する額以下の納付を命じられます。
早く就職すると再就職手当の対象になる場合がある
所定給付日数を3分の1以上残して安定した職業に就き、一定の要件を満たすと、残日数の60%(3分の2以上残している場合は70%)分が再就職手当として支給されます。
関連記事:再就職手当条件|対象者・受給要件・対象外になるケースをわかりやすく解説
失業給付金に関するよくある質問
Q. 自己都合で退職しても失業給付金はもらえますか?
A. 受給条件を満たせば受け取れます。ただし、正当な理由のない自己都合退職の場合は、7日間の待期の後に給付制限があります(退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月)。
Q. パートやアルバイトでももらえますか?
A. 雇用保険に加入していて、受給条件を満たせば受け取れます。雇用保険は、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある場合に加入します。
Q. 失業給付金に税金はかかりますか?
A. 雇用保険の基本手当は非課税のため、所得税や住民税はかかりません。ただし、受給中も国民健康保険料や国民年金保険料などの支払いは必要です。
Q. 65歳以上でも失業給付金はもらえますか?
A. 65歳以上で離職した場合は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金として、被保険者期間1年以上で基本手当日額の50日分、1年未満で30日分が一時金で支給されます。
関連記事:65歳以上の失業保険|年齢別の給付制度・受給条件・申請方法を解説
まとめ|失業給付金は条件・金額・期間を確認して早めに申請しよう
- 失業給付金は雇用保険の基本手当で、失業の状態にあり、被保険者期間の条件を満たす人が受け取れます。
- 1日あたりの金額は離職前の給与のおよそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、2026年8月1日からの上限額は7,450円〜9,110円です。
- 受け取れる日数は90日〜360日で、受給期間は原則として離職日の翌日から1年間です。
- 7日間の待期があり、正当な理由のない自己都合退職は原則1か月の給付制限があります。
- 申請は、離職票を持って住所を管轄するハローワークで求職の申込みをするところから始まります。
まずは雇用保険の加入期間と退職理由を確認し、離職票が届いたらすぐにハローワークで手続きできるよう準備しておきましょう。
退職前の給付制度の確認はRE:STARTの無料相談へ
退職理由や加入期間、体調によって、受け取れる給付の種類や金額、手続きの順番は変わります。自分の場合に何をいつ準備すればよいかを整理したい方は、RE:STARTの無料相談をご確認ください。
「退職前サポート RE:START」は、退職前給付金のサポートを行うサービスで、公式サイトではLINEでの無料相談・無料診断を案内し、退職前の相談を呼びかけています。なお、受給の可否や金額は、ハローワークや加入している健康保険の審査によって個別に決まります。
▶ 退職前サポート RE:START の無料相談・無料診断はこちら
参考文献
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
- 厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」
- 厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
- 厚生労働省・ハローワーク リーフレット「再就職手当のご案内」
※確認日:2026年10月20日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。