雇用保険の失業給付について調べても、「結局、自分の場合はどうなるの?」と分かりにくいですよね。

結論からお伝えすると、雇用保険の失業給付(基本手当)は、受給条件は共通でも、退職理由・年齢・加入期間によって、受け取れる日数や支給が始まる時期が大きく変わります。この記事では、受給できるかのチェックリストと、よくある退職のケース別に、受け取れる給付と金額・期間の目安、申請方法を解説します。

この記事のポイント

  • 雇用保険の失業給付の中心は基本手当で、失業の状態にあり、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上ある人が受け取れます。
  • 自己都合退職は給付日数が90日〜150日で、原則1か月の給付制限があります。
  • 会社都合(特定受給資格者)や一部の契約満了(特定理由離職者)は、給付制限がなく、給付日数が多くなる場合があります。
  • 病気やけがですぐに働けない場合は、受給期間の延長を申請し、働ける状態になってから受け取ります。
  • 申請は、離職票を持って住所を管轄するハローワークで求職の申込みをするところから始まります。

雇用保険の失業給付とは

雇用保険の失業給付は、雇用保険の被保険者が離職したときに、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、早く再就職できるように支給される給付です。中心となるのが「基本手当」で、一般に失業保険や失業手当とも呼ばれます。65歳以上で離職した場合は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金が一時金で支給されます。

関連記事:雇用保険失業給付|受給条件・金額・期間・申請方法をわかりやすく解説

失業給付を受給できるかのチェックリスト

まずは、次の項目に当てはまるかを確認しましょう。すべて「はい」なら、基本手当を受け取れる可能性があります。

確認すること「はい」の目安
雇用保険に加入していたか給与明細で雇用保険料が控除されていた
被保険者期間は足りているか離職の日以前2年間に通算12か月以上(倒産・解雇・契約満了などは1年間に6か月以上でも可)
すぐに働ける状態か病気やけが、妊娠・出産・育児などで、すぐに働けない状態ではない
仕事を探す意思があるかしばらく休養するつもりではなく、就職しようとする意思がある
離職票を受け取れるか退職後に会社から離職票(-1、-2)が届く予定

被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または80時間以上ある月を1か月として数えます。

関連記事:退職給付金を受け取れる条件は?対象制度・必要書類・申請時期を解説

ケース別|失業給付の日数・金額・開始時期の目安

よくある退職のケースごとに、受け取れる給付の目安をまとめました。金額は、2026年8月1日以降の基準で、離職前6か月の月給(額面・賞与を除く)が毎月同じだった場合の目安です。

ケース所定給付日数1日あたり総額の目安給付制限
① 26歳・月給22万円・自己都合・加入4年90日5,357円約48.2万円原則1か月
② 42歳・月給35万円・解雇・加入15年240日6,629円約159.1万円なし
③ 33歳・月給25万円・契約満了・加入3年120日5,775円約69.3万円なし
④ 62歳・月給28万円・定年退職・加入35年150日5,314円約79.7万円なし
⑤ 病気で退職し、すぐに働けない回復後に判定―――

ケース①:自己都合退職で転職活動をする場合

正当な理由のない自己都合退職の場合、所定給付日数は加入期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。7日間の待期の後に給付制限があり、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月は支給されません。最初の振込は、手続きから2か月前後が目安です。

早く就職が決まった場合は、所定給付日数を3分の1以上残しているなどの要件を満たすと、再就職手当を受け取れることがあります。ただし、給付制限がある人は、待期満了後1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職である必要があります。

関連記事:失業保険自己都合すぐもらう|失業保険の開始時期・給付期間・手続きを解説

ケース②:倒産・解雇などで離職した場合

倒産や解雇などで、再就職の準備をする時間的余裕なく離職した人は「特定受給資格者」となり、給付制限はありません。所定給付日数は年齢と加入期間に応じて90日〜330日で、35歳以上45歳未満・加入10年以上20年未満なら240日です。自己都合退職の場合(120日)と比べて、受け取れる日数が2倍になります。

ケース③:契約期間が満了し、更新されなかった場合

期間の定めのある労働契約が更新されなかったことなどにより離職した人は、「特定理由離職者」となる場合があります。特定理由離職者のうち一定の人は、離職日が2027年3月31日までであれば、所定給付日数が特定受給資格者と同じになります。30歳以上35歳未満・加入1年以上5年未満なら120日です。離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば、受給資格を得られます。

関連記事:特定理由離職者とは?該当条件・給付日数・必要な確認書類を解説

ケース④:60歳以上65歳未満で定年退職した場合

定年退職は、一般の離職者として扱われ、加入20年以上なら所定給付日数は150日です。60〜64歳は給付率の下限が45%で、1日あたりの上限額は7,830円のため、同じ給与でも59歳以下より金額が低くなる場合があります。定年退職後にしばらく休養するつもりの場合は、失業の状態に当たらないため、その間は受け取れません。65歳以上で離職した場合は、高年齢求職者給付金(基本手当日額の30日分または50日分)の対象になります。

関連記事:65歳以上の失業保険|年齢別の給付制度・受給条件・申請方法を解説

ケース⑤:病気やけがで退職し、すぐに働けない場合

病気やけがですぐに働けない間は、失業の状態に当たらないため、基本手当は受け取れません。この場合は、健康保険の傷病手当金(退職後の継続給付)の条件を確認するとともに、ハローワークで基本手当の受給期間の延長を申請します。引き続き30日以上働けない場合は、働けない日数分だけ受給期間を延長でき、延長できる期間は最長で3年間です。働ける状態になったら、基本手当の受給手続きを始めます。

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失業給付の金額と期間の決まり方

1日あたりの金額

基本手当日額は、離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与を除く)の合計を180で割った賃金日額の、およそ50〜80%(60〜64歳は45〜80%)です。2026年8月1日からの上限額は、30歳未満7,450円、30歳以上45歳未満8,270円、45歳以上60歳未満9,110円、60歳以上65歳未満7,830円で、下限額は2,562円です。

受け取れる日数と期間

所定給付日数は、離職時の年齢、被保険者であった期間、離職理由によって90日〜360日の間で決まります。受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。

関連記事:失業手当計算|受給額の計算方法・給付日数・金額が変わる条件を解説

失業給付の申請方法

時期やること
退職前離職理由の記載確認、離職票の交付を会社に依頼、必要書類の準備
離職票が届いたら住所を管轄するハローワークで求職の申込み・離職票の提出(受給資格の決定)
受給資格決定から7日間待期(支給なし)
指定日雇用保険受給者初回説明会に参加
原則4週間に1回失業認定日に求職活動の実績を申告し、認定を受ける
認定日から通常5営業日指定した口座に振込

手続きには、離職票(-1、-2)、個人番号確認書類、身元確認書類、写真2枚(マイナンバーカードを毎回提示する場合は省略可)、本人名義の預金通帳またはキャッシュカードが必要です。

関連記事:失業保険のもらい方|申請手順・必要書類・受給開始までの流れを解説

失業給付を受け取れない・減る主なケース

ケース理由
被保険者期間が足りない離職の日以前2年間に通算12か月(特定受給資格者などは1年間に6か月)に満たない
すぐに働けない、休養するつもり失業の状態に当たらない
受給期間(原則1年)を過ぎた所定給付日数が残っていても受け取れない
失業認定日に来所しなかった、求職活動の実績が足りないその期間の失業の認定を受けられない
アルバイトなどをした就労した日は支給されず、収入によって減額される場合がある
不正受給をした以後の基本手当等が受けられず、返還や納付を命じられる

受給中にアルバイトなどをした日は、収入の有無にかかわらず、失業認定申告書で申告する必要があります。不正受給をすると、返還を命じられるほか、原則として不正に受けた額の2倍に相当する額以下の納付を命じられます。

雇用保険の失業給付に関するよくある質問

Q. 自分が会社都合か自己都合かは誰が決めますか?

A. 離職理由は、ハローワークが受給資格を決定する際に判定します。本人の主張や証拠書類、事業主の主張などを確認したうえで決定されるため、実際の理由と離職票の記載が異なる場合は、手続きの際にハローワークに伝えましょう。

Q. 失業給付を受けている間に就職が決まったら?

A. ハローワークに就職の申告をします。要件を満たせば、残日数の60%または70%分が再就職手当として支給されます。

Q. 失業給付に税金はかかりますか?

A. 雇用保険の基本手当は非課税のため、所得税や住民税はかかりません。ただし、国民健康保険料や国民年金保険料などの支払いは続きます。

まとめ|雇用保険の失業給付は自分のケースに当てはめて確認しよう

  • 雇用保険の失業給付(基本手当)は、失業の状態にあり、被保険者期間の条件を満たす人が受け取れます。
  • 自己都合退職は90日〜150日で原則1か月の給付制限があり、会社都合や一部の契約満了は給付制限がなく日数が多くなる場合があります。
  • 定年退職は一般の離職者として扱われ、60〜64歳は1日あたりの金額が低めになる場合があります。
  • 病気やけがですぐに働けない場合は、受給期間の延長を申請しておきましょう。
  • 受給期間は原則1年です。離職票が届いたら早めにハローワークで手続きしましょう。

まずはチェックリストで受給できるかを確認し、自分に近いケースの日数と金額の目安を見てみてください。

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参考文献

※確認日:2026年10月20日。制度の内容・金額・期限は改正されることがあります。最新の情報は各公的機関のページでご確認ください。